秘書の嫁入り 夢(17)

「知りたい?」
「知りたい!」

潤が身を乗り出した。

「…知りたくありません」

ユウイチと仲良しと黒瀬が言った段階で、時枝には嫌な予感がしていた。

「ふふ、ユウイチが全裸の時枝と遊んでいる写真を刷り込んだカード。特に、ユウイチが好きなウィンナーを美味しそうに舐めているところ。ぼかし、修正なし。もちろん、時枝は恍惚の表情を浮かべているの。どう?」

得意気に黒瀬が説明した。

「――黒瀬…、」
「―――社長……、」

二人して、黒瀬を呼びながら、テーブルに手を付き立ち上がった。

「最高っ!」
「最悪ですっ!」

そして同時に正反対の感想を叫んだ。

「凄いっ! 黒瀬、天才っ! そうだよ、風俗で遊ぶような組長さんには、それぐらいショッキングな招待状の方がいいよ」
「潤さままで、なんですかっ! 誰が一体、ソレ、撮るんですか。あなたのことだ、まさかセルフタイマーでとは言わないでしょ! ご自分がシャッター切るつもりでしょっ!」

時枝が激昂している。

「時枝、ユウイチだけがいいの? 一人と一匹の世界に浸りたいとか? 撮影会じゃなくて、本物の危ない世界? へ~、そこまで仲良しさんになったんだ。もしかして、人間の勇一はお払い箱?」
「な、な、な、ナニを、バカな事をッ。勇一が一番に決まってるでしょっ!」
「だって、時枝がセルフタイマーとか言うから。てっきりユウイチだけで、楽しみたいのかと」
「そんなはず、ないでしょっ! ええ、撮影会で結構ですっ! どうぞ、お好きにお撮り下さいっ!」

結局、時枝は黒瀬に乗せられ、撮影の許可をしてしまった。

「ふふ、じゃあ、善は急げということで、今夜中に撮ろう。ユウイチ、おいで」

食事を終えテーブルの下で寝ていたユウイチが、黒瀬の膝に載る。
黒瀬には緊張するのか、顔を舐めることなく行儀がいい。
顔を見上げ、次の命令を待っている。

「ユウイチ、今日は、大仕事だからね。頑張ったら、ご褒美に最高級のドッグフードを買ってきてあげるからね。いい仕事しなさい」
「ワンッ」

言葉の意味などわかるはずないだろうが、はい、と張り切って返事をしているように見える。
撮影は黒瀬と潤の入浴後と決まり、食事の後片付けを終えた時枝は、ユウイチと共に一階下の自分の部屋へ戻った。

「ユウイチ、勇一はルミと遊んでいるんだと。どう思う? 俺には勃たないくせに……。勇一が来たら、お前、勇一のソコ、噛んでやるか? ……俺のは噛むなよ…噛んだら、絶交だからな…はあ…全く武史のヤツ……ろくなこと言い出さないよな……」

あの場所で、犬たちに犯された傷か癒えたわけではなかった。
今でもユウイチ以外の犬は、小型犬でも苦手だ。
だが発作は起さないぐらいには、なった。
自分がユウイチと全裸で接触している写真を見て、勇一はどう思うだろうか。
呆れ果てるか、憤りを感じるか、もしくは自分に欲情してくれるか。
大事にされるだけの生殺しはもう耐えられない。
傷を抉ってもいいから、身体を重ねたかった。
勇一が抱けないなら、自分が抱いてもいい。
恐いのは、それすら拒否された時の自分の受けるショックだ。
黒瀬の思惑どおり上手くいくのだろうか?
いくのなら、恥ずかしい姿を黒瀬や潤に晒しても、構わない…

「ユウイチ、勇一の下半身を直撃するぐらい、いい写真にするんだからな。俺を乱れさせろよ? どうせ、死ぬほど恥ずかしいんだから…二人の視線を忘れるぐらい、気持ち良くしてくれよ?」

時枝は自ら、冷蔵庫の中からバターやジャムやユウイチの大好物のカスタードクリームを取りだし寝室のサイドテーブルに並べた。

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秘書の嫁入り 夢(16)

「潤、時枝と浮気した?」
「…は?」
「以心伝心ってやつ? 凄くジェラシーを感じるんだけど。いつの間に」
「この間のことは、浮気じゃないって言ったじゃないかよっ! 酷いよ…黒瀬だって…時枝さんの……。だいたい、黒瀬が時枝さんをベッドに運んだんだろ。一緒に寝ようって言い出したんじゃないかよぅ…そりゃ、俺だって放っておけなかったし……」

潤が真っ赤な顔で黒瀬に抗議している。

「社長、根拠のないことで、混乱を招くような発言はお控え下さい。食事中ですよ」

思い出したのか、時枝の顔も赤い。

「根拠? あるよ。さっきから二人して私にチラチラ視線送ってくれるじゃない。しかも同じようなタイミングで」

二人とも、個々に無意識でしていたことだった。

「気のせいです」
「ははは、そうだよ……」

自覚した自分の行動を、二人とも誤魔化そうとした。

「ふ~ん、そう来るの。ホントに浮気してたら、潤、私と一緒に死んでもらうよ」
「…黒瀬も死ぬのかよ」
「当たり前だろ。潤一人であの世になんか逝かせるはずないだろ。潤がいない世界で生きていく気もないから」
「…黒瀬」

潤の目にはしっかりとハートマークが浮かび上がっている。

「浮気はしないけど…黒瀬の手に掛かるのはイヤじゃないから。俺、黒瀬にだったら、殺されてもいいから」
「潤、ふふふ、潤の命は私のものだからね」
「いい加減にして下さい。惚気るのは結構ですが、食事が終わってからにして下さい」
「時枝、兄さんと寝てないからって、イライラしないでほしいね。代わりにユウイチとは毎晩、仲良く寝てるんだろ?」
「何度も申し上げていますが、食事中です」

黒瀬の挑発に乗ることなく、時枝は食事を続けた。
黒瀬の口からそれ以上、勇一の話も出なかったので、潤も食べることに集中した。

「デザートです。バニラアイスを作ってみました」

バニラアイスに、冷凍のラズベリーが添えられていた。

「凄い…時枝さん、冷菓も作れるんだ」

潤にとってアイスは買ってくるものであって、自宅で作るものではなかった。

「時枝の実家は、もともと洋食屋だったからね。料理のセンスがあるんだよ」
「これぐらい、料理好きな主婦なら誰でも作れますよ。最近はアイスを自宅で作る器具もありますし、材料さえ揃えば、潤さまもできます。今度教えてさし上げましょう」
「お願いします」

黒瀬が食事はデザートまでとって完了するものだと思っているので、潤も料理するときはデザートまで出すが、大抵果物か買ってきたケーキが多い。
時枝が忙しい時は、レシピをゆっくり聞き出す時間もないので、この際色々教えてもらうのも悪くないと思った。

「ところで、時枝、」

黒瀬が紅茶を飲みながら、時枝に話を振ろうとしている。 
いよいよかと 潤がアイスを口に含んだまま息を呑む。

「今週末にでも、兄さんを食事に招待したいと思っているんだけど、異存はないよね?」

あれ、と潤が黒瀬の顔を見る。

「ありません」
「それで、招待状を作りたいんだけど」
「招待状?」

勇一を呼び出すのに、そんな洒落たものは必要ないだろうと、時枝と潤が顔を見合わせた。

「そう、招待状。兄さんが時枝の顔を見たくて堪らなくなるようなね。しかも、兄さんの下半身を刺激するような…ふふふ、あの人、今、不夜城の女の子とバカみたいに遊んでいるようだし…時枝に勃たない分、他で発散しているみたい」

とうとう言ったと、潤が時枝の顔を見る。
表情を崩さなかったが、メガネの奥で黒目が一瞬泳いだ。

「…ルミですか。あの子は、勇一の馴染みでお気に入りですから。身体だけじゃなく、性格の良い子なんですよ」

風俗で遊ぶなら、ルミが一番勇一のことを分かってくれている、と時枝は思う。
が、それと嫉妬するかしないかは別の問題だ。

「時枝だって、俺と潤に挟まれて発散したんだから、兄さんが女の子と遊んでもジェラシーは感じないだろうけど」

黒瀬が、時枝の嫉妬心を煽る。

「アレは…あなた方が、勝手に……」
「時枝は普通に勃つのにね。ユウイチとも仲良しだし。それで、素敵な招待状を作ってあげようかなと思って。兄さん、きっと週末待たずして、飛んでくるよ」
「黒瀬、一体どんな招待状だよ」

内容が気になってしょうがない潤が口を挟んだ。

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秘書の嫁入り 夢(15)

「潤さんってよ、見かけによらずいろいろ考えているんだな。もっとなんか、こう…」

正直、少し見下していた。
今潤は大喜にとって尊敬に値する人間に変わりつつある。

「アホかと思ってた? 黒瀬とイチャついているだけだって思ってただろ。これでも仕事もしてるし、必死で黒瀬や時枝さんに追い付きたいと思ってる。手足になりたいんだ。実力で側にいたいんだ。君だって同じだろ」
「そうかもな…。黒瀬さんは、おっかないけど、俺、潤さんとはいろいろもっと話したいかも。なんかあったら、相談に乗ってよ」

まさか、そんなことを大喜から言われるとは思っていなかった。
一人っ子の潤は、弟が出来たようで嬉しかった。

「困ったことがあったら、いつでもどうぞ。ケー番とメルアド交換する?」

大喜と潤は携帯の番号とメールアドレスを交換し、別れた。
勇一に踊らされた事に大喜は腹を立てながらも、気持ちは晴れていた。
佐々木の為に此所まで来た収穫はあったかも知れないと、携帯を握りしめていた。
潤は潤で、大喜の背を見送りながら、自分同様、普通の家庭から極道の佐々木との道を選んだ大喜に親近感を覚えていた。
同時に、大喜の話を受けて、黒瀬がどういう行動に出るのか、時枝と勇一がどうなるのか、憂いでいた。

「ただいま、時枝」
「時枝さん、ユウイチ、ただいま」

黒瀬と潤が自分達のマンションへ帰宅するのは、時枝が抜けてから連日九時を回っている。
先週までは黒瀬が組長代理の任で会社を抜けることもあったので、仕事が溜まっていた。
時枝が本宅を出てからは、忙しい潤の代わりに時枝が黒瀬宅の家事を引き受けていた。
もっともこれには、時枝が体力を付け、身体を慣らすという意味合いも含まれている。
黒瀬と潤と出迎えるのは、時枝とトイプードルのユウイチだ。
時枝が歩くのを邪魔するようにユウイチが、時枝にまとわりついている。
この二人、もとい、一人と一匹とは、すっかり仲良しだ。

「お帰りなさい。食事も風呂も全て用意できています。寝室のベッドメイキングも済ませてますが―――…あなた達、昨晩、何回やったんですか! イヤ、回数はこの際問題じゃない。どんなことをしたら、シーツに血が点点と付くのか」

帰宅早々、時枝の小言が始まった。

「はあ、あなた達、夫婦で一体どんなプレイをしているんですか?」
「ふふ、独り寝の時枝には刺激が強すぎた? どんなプレイって、それは秘密だけど。ナイフを太腿に刺したりとか?」
「社長っ! それは犯罪です!」
「んもう、時枝さん、それ、冗談だよ。そんなこと、黒瀬が俺にするはずないだろ。あれ、鼻血。あんまり黒瀬が凄いから…思わず興奮し過ぎて……」
「あなた達、毎晩やってて、まだそんなに………はあ……」

呆れ果てたのか、時枝が深い溜息を漏らす。
それを見て、何故か潤が嬉しそうな顔をする。

「潤さま、何がそんなに、楽しいのですか?」
「もちろん、時枝さんのお小言。時枝さん、大分元気になったなと思って。ユウイチ、おいで」

潤がユウイチを呼ぶと、ユウイチが潤に飛びかかる。
ユウイチは潤も好きらしい。
潤が抱っこしてやると、嬉しそうに顔を舐めた。

「まったくこのユウイチも兄さん同様、見境がない。時枝一人で満足しない所が、兄さんそっくりだ」

黒瀬の発言に、時枝の右眉がピクッと動いた。
自分の他に誰かがいるというニュアンスに心騒いだが何も言わず、二人と一匹を食卓へと向わせた。

「お二人は手を洗って下さい。ユウイチは、下に降りなさい。あなたの食事は、テーブルの下です」

は~い、ママ、と潤が時枝を茶化して黒瀬と共に洗面所へ向う。
先にユウイチが食事を始める。
黒瀬と潤が戻り、時枝を囲んで食事が始まった。
メニューはビーフシチューがメインの洋食だった。

「美味しそう!」
「そう?」

潤の素直な感想に、時枝の目が吊り上がる。
同じような場面が過去にもあったなと、クスッと潤が笑う。

「いえ、美味しいに決まってます。頂きます」
「頂きます」

潤が食事前には必ず手を合わせるので、黒瀬も時枝もそれに合わせるようになった。
一見穏やかな、食事風景が始まる。
しかし、時枝の心中は勇一のことでざわついていたし、潤は潤で、いつ黒瀬が今日の大喜の話を持ち出すのかと、気になってしょうがなかった。
二人とも、知らず知らずのうちに黒瀬に視線を送っていたらしい。

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秘書の嫁入り 夢(14)

「俺は、あんたらの中じゃあ、部外者だからよ、時枝のオヤジに何があったのかも、あの二人の間で何があったかは詳しくはしらね~よ。でも、時枝のオヤジが出て行ったからって、佐々木のオッサンを巻き込むことはないだろっ! これって、半分は時枝のオッサンの責任じゃねえのか?」
「ま、そうだろうね」

大喜が拍子抜けするぐらいあっさりと、黒瀬が認めた。

「佐々木の性格知ってて、連れて行ったんだとすると…うん、我が兄ながら、やること見え透いてて、同情すら覚えてしまうよ」

黒瀬一人が、何やら納得している。

「どういうことだ?」
「俺も知りたい」

大喜と潤が、黒瀬の答えを待つ。

「どうして、佐々木を連れて行ったかと考えてごらん? しかも同行だけじゃなく、抱かせたんだろ?」

大喜と潤が顔を見合わせて、分からない、という表情を浮かべる。

「ふふふ、分からない?」

黒瀬が大喜の顔を指で指す。

「お猿さんがいるからだろ」
「俺? 俺がいるから抱かせるって、おかしいだろ。普通は抱かせないっていうんじゃないのか」

大喜が、訳が判らないと、むくれた。

「だから、佐々木が女性を抱いたとなると、こうして大騒ぎになるだろう? これが他の組員じゃ、妻帯者でもならない。ヤクザの夫が風俗で遊ぼうが、他に愛人がいようが、そう騒ぎ立てる程のことじゃないが、佐々木は違う」
「そうか! 分かった」

声をあげたのは、潤だった。

「さすが、私の潤。潤、先を言ってごらん」
「うん。つまり、佐々木さんが風俗とはいえ、女性を抱いたとなったら、絶対、大森君に話すだろうし、佐々木さんの性格じゃこれは遊びや浮気といった簡単な話ではないはず。大森君、ダイダイが時枝さんに組長さんの乱行話を届けることを見越してだ。つまり、組長さんは、風俗で遊んでいる話を時枝さんに知らせたかったというわけだ」
「そう、結果、お猿さんは、兄さんの睨んだ通りの行動に出た。だから、今、此所にいる」
「ふざけるなっ!」

黒瀬と潤の解説を聞いて、大喜の頭に一気に血が駈けのぼった。
黒瀬が要注意人物だったということを忘れ、黒瀬のデスクの前まで突進し、バンッ、とデスクの上に両手を振り下ろした。

「じゃあ何か? ボンクラ組長の浮気を報告させる為に、俺のオッサンは犠牲になったと言うのか? たったそれだけの為に? オッサンの純情を利用してか? そんなこと、ますます許せるかっ!」

大喜が身を乗り出して抗議した。

「ま、お猿さんが怒るのも無理はないけど。それを私に吠えられてもね。相手が違うだろ? ふふ、ちゃんと、時枝には私が責任を持って伝えておくよ。お猿さんには、お詫びに佐々木との営みが楽しくなるグッズを大量に贈ってあげるから」
「そんな物で、誤魔化されないぞっ!」
「でも、私が佐々木を傷付けたわけじゃない。我が愚兄のしたことだ。兄さんには私がお仕置きしてあげるから…うふふ」

ゾワッとするような冷気を含んだ黒瀬の微笑。
大喜の背筋に冷たいものが流れた。
勢いでデスクまで来てしまったことを、大喜は後悔した。
少しずつ、後退る。

「グッズ、楽しみに待っていなさい。佐々木の真珠もいいかもしれないけど、あの堅物、オモチャは使わないでしょ? 可愛い私の秘書さん、お猿さんを丁重にお送りして」

社長室を出ると、大喜は、はぁ~っと深呼吸の後、一気に脱力した。
横で潤がクスクス笑っている。

「あんたさ、よくあんなのと一緒に居られるね。時々不気味な笑顔するよな、あの人」

どっと疲れを感じるのは、黒瀬との対峙にエネルギーを使い果たしたからだろう。

「不気味? そんな顔見たことないけど。大森君、変なこと言うね」

あんた、あの笑顔が不気味じゃないのかっ!?
大喜は心の中で叫び、もしかしたら、潤は見かけによらず大物かもしれないと、隣に並ぶ潤の顔をマジマジと見た。

「黒瀬さんとあんたの組み合わせって、やっぱ、奇跡って感じする」
「俺も、奇跡だと思うよ。君と佐々木さんだって、そうじゃない? 人と人の出会いって、全て奇跡だよ。意味があると思うし」

潤がどこか遠くを見ている。
視線の先にあるのは、エレベータのドアだが、もっと遠くの何かを見ているように大喜は感じだ。
この童顔の男は、人知れぬ苦労をした人間かもしれないと、ふと大喜は思った。

「俺と黒瀬は何度も時枝さんや組長さんに助けられているんだ。だから、今度は力になってあげたい。だからって、佐々木さんの心を踏みにじっていいって、弁護するつもりはないよ。ただね、組長さん、必死なんだよ。そこだけは分かってやって欲しい。いざとなれば、佐々木さんや大森君だけじゃなく、桐生全体を命がけで守ろうとする男だから」

言い換えれば、桐生から逃げられない男なのだ。
エレベーターの扉が開き、二人で乗り込む。
他に社員はいなかった。

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第一弾、応募方法!

機上恋・地上恋文庫の帯/オンラインファン企画の応募方法です!
まずお手元に該当文庫「機上の恋は無情!」「地上の恋も無情!(受難の突入篇)」「地上の恋も無情!(狂愛の完結篇)」を用意します。
このとき、注意して頂くのは「機上の恋は無情!」の帯です。落丁本をお持ちの方は帯の2000がピンク色だと思いますが、これは使えません。(今回送って頂く分に番号があるので、違う番号は対象外)
出版社で無料交換していますので、交換して下さい。(書店ではしていません。詳しくはこちらを)2000の数字が黄色だと問題ありません。今、出ている分は黄色ですが中古品でお求めの方は業者・出品者によっては怪しいので確認を。

 

ということで三枚の帯を用意できましたら、拡げます。その一番右のタイトルとISBNナンバーが入った裏表紙の折り返し部分を切り離します。
残りの部分は次の企画で使いますので、捨てずに保管! です。
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(紛失してなかった…の代用の方は文庫内のカラー口絵(巻頭のカラーイラスト)を切り離して代用してください。可能な限り帯を探して下さい)

次に用意するのが小冊子の送付先です。
送付先の郵便番号・住所・氏名を書いた紙(できればそのまま貼っておくれるようなシールが好ましい)を用意します。

以上の準備が整いましたら、あとは封筒(封筒裏に自分の住所・氏名をお忘れなく)に①切り取った帯三枚②宛先を書いた紙(シール)入れて会員募集と同じ宛先に送付して下さい。

〒160-0022  東京都新宿区新宿1-10-1
株式会社文芸社
「機上恋」会員申し込み係

☆黒桐Co.会員の方は別途ミニプレありです。送付前に会員ページを覗いて下さい。6日の24時までに会員ページ内に「合い言葉」の案内を入れますので、それまで投函はお待ち下さい。
※同時に会員に応募されたい方は、上記の帯の端、住所氏名を書いた紙の他に、会員募集に必要な応募券・切手を貼った返信封筒を揃えて同封して下さい。
(詳細は単行本を参照)

 

〆キリ; 5/31 (当日消印有効)

応募頂いた方の数のみ作ります。予備はありません。
これからお求めの方で、書店の配送の都合で、どうしても遅れそうな方は、〆キリ前にツイッターで経由でご連絡下さい。
お届けは8月を下旬を予定します。早まることはあります。
(会員募集に応募された方は、会員パスだけ先に送付します)

 

投函時の切手代以外は無料ですので、どうぞ文庫をお持ちの方はご応募下さいませ。第一弾は帯は捨てちゃった…って方にも対応していますので。
なお、うちは突発的な後出しジャンケン的な企画が多いので、同人誌でも文庫でも付いているものは全てを保管して下さっているといいかなと。
捨てちゃった(T_T)とか…良かったよ、まだ持ってたよ…とか運試し的なところがあります。

第一弾、かなりハードな内容になりますが……興味ある方はご応募下さい。

秘書の嫁入り 夢(13)

「あ、そっか。あの変態の秘書って嫁さんだって…タッ」

潤が慌てて大喜の足を踏む。

「イヤだな。大森君。どこかで頭打った?」
「…手加減、足加減ってやつを知らないのかよ……」
「社長室へ案内するから、静かにお願いします。大人が仕事をする場所で、学生さんに騒がれると仕事の邪魔です」

一年前は学生だった潤も、今は違う。
多少不埒が行為に及ぶことはあっても、仕事はちゃんとしているのだ。
大喜を諌め、受付に礼を言うと、大喜を黒瀬の待つ社長室へと案内した。

「社長、お連れしました」
「ご苦労様」

黒瀬が大喜を一瞥し、直ぐに潤に視線を戻した。

「では、私はこれで」
「市ノ瀬君も同席して下さい。お猿さんの相手は苦手ですから。猿が暴れてもいいように鍵もかけてね」

潤が退室するのを、黒瀬が止めた。

「相変わらずの、猿扱いありがとうよ。あんた達、どうなってるんだ? 嫁さんだってこと、隠してるのか? 市ノ瀬って、旧姓だろ? あんた今、黒瀬じゃなかったっけ?」

大喜は、黒瀬が勇一の弟で、その嫁が潤だともちろん知っている。

「会社では市ノ瀬だし、黒瀬との関係は秘密だ。時枝さんしか、社内で知っている人間はいない」
「へえ、そういうの、なんかカッコイイな。仕事とプライベートは別ですって、ヤツだろ」
「私は、一緒でも構わないけどね。それで、お猿さんは、何をしに山を下りてきたんだ? 突然私を訪ねるくらいだから、余程重要なことなんだろうね」

社長椅子に座っている黒瀬の側へは寄らず、大喜はソファに勝手に座った。
以前、黒瀬に裸に剥かれ縄を掛けられたことや、それ以上の思い出したくない酷い経験があるので、あまり近くには寄りたくないのだ。

「時枝のオヤジは、あんた達が面倒看てるんだろ? 本当に用があるのは時枝のオヤジの方なんだけど、居場所知らないからさ」

ソファの上からふんぞり返って、大喜が用件を話し始めた。

「時枝に用? 兄さん関係か」
「あんた、頭切れるね。その通り。組長、風俗遊びしてるぞ」
「別にいいんじゃない? 兄さんだって、遊びたい年頃なんだろ。独身だし」
「何だよ、それ。時枝のオヤジとあのボンクラ組長、できてんだろ。出て行った途端、風俗遊びとは、ヤクザのくせにギリもヘッタクレもないんだな」

フン、と大喜が鼻を鳴らす。

「組長さん、風俗で遊んでるんだ。俺、許せない」

横で聞いていた潤が大喜に同調する。

「まあ、兄さんもイロイロあるんじゃない? 時枝から見捨てられた状態だしね。忘れたいのか、何なのか」
「忘れたいって? 時枝さんのこと? 忘れられる訳ないじゃない。あの二人は、」

潤が段々興奮してきた。

「相思相愛、だろ。潤、分かってるよ。忘れたいのは、女々しい自分だよ。男を取り戻したいんだよ。雄として愛せないからね、今のあの人は」
「そうか。組長さんなりに、考えているのかも知れない」

潤が妙に納得した。

「勝手に進めるなっ!」
「あれ、どうして、お猿が怒っているんだ? そもそも、兄さんが風俗に行くぐらいでお猿が目くじら立てることもないと思うけど?」
「あるんだよっ! 勝手に一人で遊ぶ分には組長の好きにすればいいけど、あのボンクラ、オッサンを巻き込むんだ。オッサン可哀想に…組長命令で無理矢理ソープに連れて行かれて、3Pだとよ。あんた達だって、オッサンの純情ぶりは知ってるだろ。どれだけ傷付いたと思ってるんだ。ワンワン四十過ぎの男が泣いて俺に詫びを入れたんだぞ」

大喜の話に、黒瀬と潤が顔を見合わせると……

「ご、ごめんッ…ダイダイ、我慢できないっ」
「全くだ。その時の映像が目に浮かぶ…」

腹を抱えて笑い出した。

「笑い事じゃね―っ!」

大喜が大声を出す。

「いいか、あんたら変態夫婦は毎晩イイコトしているんだろうけどな、俺はボンクラ組長のせいで、一週間お預けなんだぞ! オッサン可哀想に、組長が久しぶりに事務所に顔を出すからって、はりきって家を出た日に、あんな目に遭って…俺に申し訳ないって、客間で寝てるんだぞ?」
「あ~~~、ごめんごめん。大森君…ダイダイにとったら辛いよな」

まだ笑い収まらないといった潤が、同情のコメントを寄せる。

「ふふ、覚えたてのお猿さんを、放っておくとは…佐々木もバカだね。猿はキリがないってこと、知らないのかな。動物の事典でも贈ってやろう」
「いい加減にしろ。俺は猿じゃねえっ! ちゃんとした人間だ。ただ年が若いんだ。毎晩だって、したいんだよっ! あんたなら、分かるだろ」

黒瀬には何をされるか分からないので、潤に大喜は詰め寄る。

「分かるけど、佐々木さんって、真珠入りだろ? 毎晩はきついんじゃない?」
「…オッサンは上手いんだ」

佐々木との結合を思いだし、大喜の顔が赤くなる。

「……それに、間が空いた方が辛いんだよ。分かるだろ」

あんたも、受けなら、と大喜が心の中で続ける。
思い当たる節があるのか、潤の顔もほのかに赤く染まる。

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秘書の嫁入り 夢(12)

「…ダイダイ…、本当に済まなかった」
「オッサンは悪くねぇし、浮気でもねえよ。オッサンに、怒ってもいないから、心配するな」
また、大喜が佐々木の唇にキスを落とそうとすると、佐々木がそれを躱(かわ)した。
「どうしたんだよ?」
「男としての、ケジメを付けさせてくれ。一週間、俺は大喜に触れない。寝るのも客間にする。みそぎをさせてくれ。女に負けた情けない下半身のまま、ダイダイに触れるわけにはいかないんだ」
「は? オッサン?」

何を言い出すんだと、大喜が目を見開く。

「蛇の脱皮とはいかないが、綺麗な身体に生まれ変わってから、触れさせてくれっ!」
「何だよ、それっ! さっき風呂入っただろ? 身体洗ったんだろ? それでいいじゃねぇか。一週間で、女に反応しない下半身になるわけないだろっ! バカバカしい。男ってもんは、女でも男でも、刺激に弱い下半身ぶら下げて生きてるんだよっ! 違うか?」

大喜が必死に佐々木を説得する。
朝帰りした佐々木を許しているのに、どうして、自分が触れて貰えないことになるのか納得できない。

「ダイダイ、分かってくれ。こんなことしでかした自分が許せないんだ。惚れたお前と暮らしていて、手が出せないことは苦行だと思う。だが、簡単に無かったことにできるほど、軽いことじゃないんだ。お前という大切な存在がありながら、俺は女と寝てしまったんだ。しかも、組長を止められなかった。時枝さんにも申し訳がたたない。男のケジメだ。俺に男を通させてくれっ!」

駄目だこりゃ、と大喜は項垂れた。
ヤクザ者の佐々木に「男を通させろ」と言われれば、大喜が引くしかない。

「…分かったよ、オッサン。綺麗なピカピカなオッサンになってから、俺に触れてくれよ。その代り、一週間だけだからな。それ以上だと、俺が干涸(ひか)らびる」

干涸らびるというのは大袈裟だが、一週間間が空くと、真珠入りの佐々木と交わるには大喜の負担はかなり大きくなる。

「ダイダイ、すまねぇ。ありがとう。一週間後、生まれ変わった俺を受け止めてくれっ!」

佐々木は立ち上がると、速歩で寝室を出た。
どこへ行くつもりだ、と大喜が追うと佐々木は客間に入り、鍵を掛けた。

「オッサン?」
『うぉおおおおおっ』

中から、獣のような佐々木の咆吼が聞こえてきた。

「…オッサンだけじゃなくて、俺まで被害者じゃねえかよ。組長のヤツ、覚えてろっ!」

このまま、大人しく引き下がるような大喜じゃなかった。
数日後、大喜は株式会社クロセの本社ビル前に立っていた。
就活の経験もないので、こういう企業に足を踏み入れるのはかなり緊張する。
深呼吸をすると、中に入った。

「あの、社長さんにお目に掛かりたいんですけど」

受付と書かれたブースで笑顔を振りまく綺麗な女性に声を掛けた。

「面会のお約束は?」
「ありません」
「申し訳ございませんが、社長はお忙しい方なので、アポイントメントのない方とは、お会い出来ません」

綺麗な顔は、丁寧に断りを入れてきた。
そこで引き返す大喜では、もちろんない。

「あのさ、俺、身内なんだけど? お姉さん、せめて内線で、会うか会わないか社長に聞いた方がいいよ? クビになっても知らないよ? 佐々木の所の大森が急用だって言ってくれればわかるから」

綺麗な顔が、一瞬ムッとした。
学生風情の突然の訪問者にクビを持ち出されて気分がいいはずがない。
が、そこは仕事だ。
直ぐに作り笑顔に戻り、お待ち下さいと、内線の受話器を手にした。

「社長に、お客様ですが…ええ…それは申し上げたのですが…佐々木さんの所の大森さんって方です。急用らしいです」

受付嬢が内線を掛けたのは、社長の黒瀬のデスクではなく、秘書課だった。

「…はい、では、」

話は終わったらしい。受付嬢が受話器を置いた。

「社長秘書が参りますので、少しお待ち下さい」
「会ってくれるってこと?」
「だと思いますが」
「良かった。お姉さん、世話になったな。ありがとう。ところで年は幾つ? 彼氏とかいるの? ここ、もう長いの?」

別にナンパをするつもりはないが、作り笑顔がいつまでもつのか、からかってやろうと、緊張が解けた大喜に悪戯心が芽生えていた。

「プライベートなことには、お答え出来ません…」
「大森君、何やってるの」

迎えに来たのは潤だった。

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秘書の嫁入り 夢(11)

「味はどうだ?」
「…美味い」
「なら、しけた面するなよ。もっと美味しそうに食えよ」
「…すまない」
「謝らなくていいから。味噌汁、お代わりは?」
「…胸が苦しくて…美味しいが、もう…」
「そうか。また落ち着いたら、腹も減るさ。風呂も湧かしてあるから、浴びてくれば?」

余程、大喜に後ろめたいのか、佐々木は終始視線を反らしたままだった。
これじゃあ、自分の方が息が詰まると、大喜は佐々木を風呂場へ押しやった。

「さっぱりしたか? 寝室で待ってろよ。ゆっくりじっくり、話を聞いてやるからさ」

風呂からあがった佐々木を二階に追いやると、大喜はヤレヤレと冷えた缶ビールを二缶持ち、自分も二階へ上がった。
大喜が寝室へ入ると、佐々木がすっかり項垂(うなだ)れベッドに腰掛けていた。

「朝からビールも悪くないだろ。素面(しらふ)だとオッサン話せそうもないから、ほら」

佐々木に一缶手渡し、その横に座る。

「オッサン、話せ。聞いてやるから。嘘は付くなよ。正直に話してくれれば、多分、許せると思うから」
「…多分…か…」
「細かいことは気にせず、話してみろ。あ~、朝のビールもウメ~」
「…ダイダイ、未成年だろ……」
「四捨五入すれば、二十歳だ。問題ない」

いつもなら、そんな言い訳通用するかと怒鳴られる所だが、今日の佐々木は違った。
自分に後ろめたいことがあると、人間、他人を叱れないらしい。
ヤケになっているのか、佐々木はプルトップを開けると、一気に缶の中身を流し込んだ。

「一気飲みかよ、オッサン」
「…はあ…、酔えない…。ダイダイ…大喜、俺は…」

佐々木が立ち上がったと思えば、大喜の足元にまた土下座をした。

「浮気をしちまった。許せっ! この通りだっ!」

髪の毛が抜けるんじゃないのか、というぐらい佐々木が頭を床にグリグリ押し付けている。

「浮気って、どうせ風俗だろ。ソープか?」
「組長がっ、組長がっ…俺は嫌だと拒否したんだっ! 本当だっ! ダイダイがいるのにって」
「いいって。そこは必死にならなくても。オッサンが自らソープに入ることは、天と地がひっくり返ってもないっていうか、無理だって分かってるから」

佐々木を宥めながら、『クソ組長めっ!』と内心では、勇一に毒づいていた。
大喜が腰をあげ、土下座中の佐々木の横に座る。

「オッサン、顔をあげろよ。ほら、」

肩に手を掛け、引っ張り起そうとするが、佐々木の頭は上がらない。

「自分じゃイヤだったんだろ? だったら土下座まですることない。必要以上に謝罪されると、もしかして、って、思うだろ。楽しんだのか?」
「違うっ!」
「じゃあ、顔あげろよ。俺、オッサンの顔みたい。朝まで一人だったし…寂しかったんだぞ?」

大喜の言葉に押されて、やっと佐々木の頭が床から離れた。
大喜が佐々木の顔を両手で挟み、自分と正面を向かせる。

「男前が台無しだ」

大喜が佐々木の唇に軽くキスを落とす。

「キスはさせてないんだろ?」
「あ、当たり前だっ! …だが……」

佐々木の視線が大喜から反れる。

「挿れちゃった、ってとこか? オッサンの真珠、風俗の姉ちゃんにパクリやられたのか」
「…ぅぐッ……」
「泣くなっ! 責めてるんじゃねえよっ。事実確認しているだけだ。どうせ、組長が逃げられなくしたんだろ。メガネのオヤジに出て行かれて、頭おかしくなったんじゃねえか? オッサンを巻き込んで、自分がバカしたかっただけだろ」
「…組長、ショックが多すぎて…」
「庇うなっ。オッサンの性格知ってて、俺がいることも知ってて、ソープに連れて行たんだ。あの男、今度会ったら殴ってやるっ!」

大喜が怒りを露わに言い放った。
佐々木がソープランドへ行ったことも、風俗嬢と一戦交えてしまったことも、大喜にはさほど気になるようなことではなかった。
むしろ、大喜だけというのは、極道に身を置く男してどうよ、と思う節もある。
許せないのは、怒りを感じるのは、佐々木がそういう場所に自ら納得して行ったのではないということだ。
愛を重んじる純情男が、どれだけ傷付いたことだろう、と傷付けた男、勇一に対してメラメラと怒りが湧き上がってくる。

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秘書の嫁入り 夢(10)

「はいはい、いい年した大人が泣かない。気持ち良かったでしょ? あとはユウイチと遊んでて下さい。ユウイチ、おいで」

時枝から身体を離した黒瀬がベッドの下で待たされていたユウイチを呼ぶ。
時枝の身体を仰向けにすると、時枝の上にユウイチを載せた。
時枝からは悲鳴は上がらない。
潤と時枝の放出したもので濡れた時枝の腹をユウイチがペロペロと舐めだした。

「…時枝さん、大丈夫?」
「大丈夫じゃない? もう、ユウイチとお友達のようだけど」

黒瀬にいいように扱われ、疲弊した身体はユウイチを拒む気力を時枝に与えなかった。
悲鳴をあげるような恐怖心も湧き上がって来ない。
ユウイチに舐められるよりも、惚れた男の弟と身体を繋いだことの方が問題のような気もするが、今はそれを考える気力もなかった。
ただ、頭にあるのは、何故、勇一じゃないんだ、ということだけ。
勇一の側を自ら離れたのは、昨日の朝だ。
依存は止めようという決意で、止める勇一を払い出てきたのに、勇一の顔が見たかった。

「時枝さん、犬は克服できたのかな?」
「大型犬は分からないけど、ユウイチは恐くないみたい。時枝はユウイチに任せて、潤、こちらへ」

黒瀬はまだイッてなかった。
時枝をイかせはしたが、自分が時枝の中で果てることはなかった。
装着していたゴムを外すと、潤を呼ぶ。
潤は時枝を跨ぎ、黒瀬の元に行く。

「…黒瀬、それ…」

仰向けになった黒瀬の中心が雄々しく勃っているのを見ると、潤の顔がフワ~っと嬉しさで桃色に染まった。

「時枝さんの中で、イってないんだ……」
「私の愛は潤だけに注ぎたいからね。潤、おいで」

潤が黒瀬の上に跨ると、躊躇なく腰を降ろす。

「一人で挿入してごらん」

黒瀬の先端で潤の蕾をつつきながら、開いていく。
毎晩交わす愛の行為で、指を使わず飲み込むことを潤の身体は習得していた。

「ぁあっ、やっぱり直に感じるのが、一番だよ…黒瀬…好き…」

もはや時枝の存在は、二人には関係なかった。
やるべきことはやったと、二人の世界に没入していく。

「…お前は…ソコまで…舐めるのか…? ユウイチ…あぁあ…もう、勝手にしなさい……」

 

 

「あんた…オッサンに一体何を…」

佐々木が自宅の玄関の土間で、大粒の涙を流しながら同居している大森大喜に土下座をしている。
その横には、勇一が立っていた。
帰ったぞという佐々木ではなく勇一の声で、大喜が朝食の準備をしていた台所から玄関へと顔を出すと、佐々木が下を向いたまま立っていた。
大喜が「オッサン?」と声を掛けると、いきなり土間へ座り込み、土下座を始めたのだ。

「…すまねぇ…、お前に合せる顔がないっ! この通りだっ! …ぐっ、組長が…、」
「少しは、佐々木だって、楽しんだろ? なんたって、ルミは名器の持ち主だからな。後はよろしく」
「…よろしくって、こらっ、待てっ! ルミってどういう事だっ!」

出ていこうとした勇一の上着の裾を大喜が掴んだ。

「離せ、ガキ。ちゃんと連れて帰ってやったんだから、問題ないだろうが。塒に隠れるっていうのを、俺がガキの元まで、送り届けてやったんだ。じゃあな」

大喜の腕を振り払い、勇一は具体的な説明をせずに出ていった。

「ああ、もう、泣くなよ。後でゆっくり話は聞かせてもらうけど、取り敢えず顔洗って、朝飯にしようぜ。な? 立てよ、服が汚れるぞ」
「…ダイダイ、俺を殴れ。…蹴ってもいいぞ」
「組長から、石鹸の匂いがしたから、だいたいの予想はついてるよ。朝帰りだしな。俺に申し訳ないと思うなら、朝飯だ。折角オッサンの為に作ったんだ。温かいうちに食おうぜ、」

まだ十代の大喜の方がよっぽど大人である。
四十過ぎの佐々木は、大喜に促され情けない顔のまま、食卓へついた。

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秘書の嫁入り 夢(9)

「…んっ、…あぅ…、やめてくれっ!」
「潤、愛し合おう…」
「うん」

黒瀬は時枝の中に入ったまま、潤と見つめあう。
視線と視線を絡め、まるで潤と交わっているようだ。
潤と視線を絡めたまま、激しく時枝の中を切り開く。
潤は潤で、時枝のモノを遠慮無く扱いていく。
後ろを黒瀬に、前を潤に嬲られ、時枝は堪らず前にある潤の身体にしがみついた。
三人がピタッと引っ付いた状態で、尚も行為は続けられた。

「ぁああっ、…ウソッ……、あっ、」

ユウイチに犯られている訳ではないので、恐怖心はないが、勇一の弟、しかも自分の上司と繋がってしまったという背徳感が、時枝を興奮させていた。
しかも、その嫁が、一部始終を自ら参加しながら見ているのだ。
黒瀬と潤による不道徳な行為に、時枝は情けないが感じていた。

「時枝さんの、凄いよ…あの時だって勃起しなかったのに…」

あの時とは、時枝が薬物で昂ぶった潤の身体を鎮めようとしたときのことだ。

「時枝、今の痴態を兄さんみせたら、あの人どう思うだろうね~。ますます、いじけるか、煽られて勃つか…カメラ仕込んであるから」

ギュッと時枝の内部が締まった。

「…録るなっ!」
「ふふ、冗談だよ。ほら、怒ってないで、もっと感じれば? 潤、根元握って」
「…ぐっ」
「ふふ、時枝は頭白くなるぐらい、勝手に感じてればいい。潤…」

前を堰き止められまま、激しく黒瀬に突かれる。
本宅へ戻ってから治療以外で触れられることのなかった場所は、はしたなく悦んでいた。
勇一に触れられることも見られることも拒んでいたというのに、自分がこんなに飢えていたのかと、思い知らされる。

「…黒瀬、俺も…ヤバイ…欲しい…」

潤にしがみつく時枝の指が、黒瀬に突き上げられる度に、潤の背に食い込む。
黒瀬の太い杭が自分の中に収まっている感覚が想像され、潤の身体の奥深いところが疼きだす。 
時枝を握りながら、潤自身の腰も揺れていた。

「もっと、欲しがってごらん。ほら…」

黒瀬の両手が、時枝を通り越し潤の腰に行く。
そのまま時枝を挟んだ形で潤の腰を掴むと、時枝に突き上げるリズムで潤を揺らした。
重ねているのは時枝の身体だが、黒瀬がセックスをしている相手は潤だった。

「…前を…離せッ…」
「まだ、イかせないよ、時枝。俺でイッてもいいの? これって、浮気じゃない?」
「…勝手に…、あぅ、人の身体に突っ込んで、何が…浮気だッ…クソッ……」
「な~んだ、分かってるじゃない、時枝。浮気じゃないんだから、もっと楽しめば? 俺より、ユウイチの方が良かった?」
「…バカなことを……言うなっ、比べられるかっ!」
「選べないほど、どっちもいいの? 欲張りだな。なんなら、大型犬も用意する? 雌に飢えた犬を数匹」
「…ヤメロッ! ぐっ、冗談でも、そんなこと……」
「本気だけど?」

黒瀬が一旦腰を下げ、一気に突き上げた。

「ン…あぁあああっ、」

黒瀬のサイズだと、狙わなくても時枝の弱い所を擦る。 
時枝の嬌声に潤の中心が揺れる。
時枝と違って、堰き止められてないので、既に蜜を流し始めていた。

「ふふ、もう、犬の話しても、震えは来ないみたい…時枝も意外と単純な身体しているよね~」

バカにしたような黒瀬の言葉だったが、その通りだった。 
犬を持ちだされ怒りは感じたが、恐怖で震えることはなかった。
それよりも今は、黒瀬に与えられた快感で震えていた。
黒瀬の手が潤の腰から潤の耳へと移動し、その耳を塞いだ。

「親に身体を裂かれた俺よりは…マシだと思うよ…時枝」
「――武史」

一瞬見せた、黒瀬の過去の傷跡。
潤は黒瀬が父親から受けた虐待に、性的暴行が含まれていることを知らない。
黒瀬の目は、悲しく揺れていた。
しかし、直ぐにいつもの黒瀬に戻る。
潤の耳からも手は離れ、また腰へと移動した。

「潤、先にイッていいよ。これで終わりじゃないから」

黒瀬が更に激しく時枝を突く。
その揺れで潤が感じ、時枝の腹は潤の垂らすもので、濡れていた。

「…黒瀬…、あぁ…、キスして」

黒瀬が潤の唇を塞ぐ。
その瞬間、潤が時枝の腹に自分の体液をぶちまけた。
そして、時枝の根元を握っていた手から力が抜けた。
一気に時枝の雄芯に堰き止められていたモノが駈けのぼった。

「ぁああっ、…勇一ッ!」

イく瞬間、時枝の瞼に恋しい勇一の顔が浮かんだ。
そして時枝の身体から、白濁の液体が数回に分けて放出された。

―――どうして、俺が、勇一以外の人間からイかされなければならないんだ?

放出してしまえば、身体はスッキリする。
同時に、無性に勇一が恋しかった。
どんなに激しく突かれ、どんなに無茶に抱かれようと、どんなに快感があろうと、勇一でなければ、身体も心も満たされなかった。

―――勇一に、愛されたい……

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