その男、激情!79

「…勇一…、俺のだ…。俺のっ、」

時枝が、勇一の分身に向って手を伸ばそうとする。
指先が、小刻みに震えていた。

「俺より、ココなわけ?」

あまりに切羽詰った表情を時枝が見せるので、勇一が冗談交じりに言う。

「…ああ、そうだ」

言葉とは裏腹に、そんなわけあるか、どアホ、と時枝の心が言っているのが勇一には聞こえた。

「全身、お前のモノだよ。どうぞ、お触り下さい」

勇一が自分の中心を時枝の指先に持って行く。
時枝の指先が、勇一のツルッとした先端に触れる。
触った瞬間、ブルッと勇一の全身が震えた。
時枝が、アッと小さく声をあげ、指を退いた。

「凄く、くるな。いつも触らせているのに、不思議だぁ、久しぶりの気がするぜ。遠慮要らないから、触れ」

時枝の指に、勇一は身体に電流が走ったように感じた。
少し触れられただけの場所が熱い。

「…裏切ったら、」

一度離れた手をまた勇一の分身に戻すと、今度は強い意志を持って握りしめた。
ギュッと力を込められ、くっ、と勇一の口から音が漏れる。

「針千本じゃなくて、コレを根元から切り落としてやるからなっ! 本体が俺を一人にするなら、剥製にして俺の側に置く」
「はは、冗談にしては、」

物騒な時枝の言葉を笑って済まそうとした勇一から、笑みが消えた。
泣きっ面で腫れ上がった瞼を大きく見開き、時枝が強い眼光を放ちながら勇一を睨んでいる。
握られた場所に、圧が更に加わる。

―――こいつ、本気だ… 真剣に言ってやがる。

「冗談じゃないんだな。勝貴、切り落とすつもりか」
「ああ。不慮の事故でも許さないっ! 許さないっ、…勇一……勇一っ、」

一旦乾いていた時枝の双眸がまた濡れる。

「ははは、俺さま、愛され過ぎだし、勝貴、可愛い過ぎだろ。うわっ、バカ、そんなに急に…」

時枝の手が、勇一を扱きだした。
勇一の熱い分身に時枝が直に触るのは、実に三年ぶりだった。
直に伝わる勇一の熱、皮膚感、膨張していく感触、何一つ変わっていない。
生きている…勇一は生きていた……自分の手の中で脈打つ勇一の生を感じながら、時枝の心は喜びで震えていた。

「ちょ、ちょっと、勝貴、手加減しろよ」

一息吐く間も与えない程、時枝の手が弱い所を攻めるのであっという間に勇一の雄は噴出寸前となる。

「…俺のだっ、自由にさせろっ!」
「そうだけどな、勝貴。もう、ヤバイって。っ、ってぇええ、」

ギュッと根元を握られ、勇一の欲望は堰き止められた。

「…飲みたいっ、」
「はい?」
「飲ませろっ、」
「・・あの、勝貴ちゃん、飲むって、俺さまのミルク?」
「他に何があるって言うんだっ、どアホ!」

勇一を怒鳴るのと同時に、時枝は勇一から手を離した。
そして、水分たっぷりの目を閉じると、口を丸く開いた。

「勝貴っ、オイ、」

何の為に開けられた口なのか、勇一にもすぐに分った。

「腹くだしても知らね~ぞ。…しょうがないな…」

ブツブツ言いながら勇一は、時枝の頭の方に回り込んだ。
時枝を覗き込むように上半身を前に倒し、時枝の口に猛ったモノをゆっくりと入れた。
半分入った所で時枝の舌が絡みつき、勇一の精を搾りとろうとする。

「ファラしたいんじゃなくて、飲みたいだけか」

口に入りきれなかった根元部分を勇一が手で扱く。

「んっ、」

鼻に抜けた声を出し、勇一が爆ぜた。
時枝の口の中に、懐かしい味が広がった。
勇一以外の味もこの三年間で覚えてしまった時枝を、嬉しさと後悔が同時に襲う。
咥えたまま、閉じた目から静かに涙を流す時枝。
その顔を見ていると、勇一の中に説明のつかない自責の念が生まれた。

―――俺のせいだ。許せ勝貴。
―――ん? 何が俺のせいなんだ…?
―――勝貴が、マズイもの口に含んで切ない顔するからか?