切りの関係で、かなり短いです(此処までが三巻です)
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「ボス、香港からたった今コレが」
自宅で息子と遊んでいた台湾マフィア李強の元に、小箱が届けられた。
送り主の欄には、知らない名前が書かれている。
箱を開けてみると、茶色のガラス瓶、カード、それに写真が入っていた。
「パパ、何なの? お菓子?」
写真を見て薄笑いを浮かべた李を見て、息子が箱の中身に興味を示した。
箱の中を覗こうとする息子を制し、中身が見えないよう息子の頭より高い位置に箱を持ち上げた。
「悪いが、仕事関係だ。向こうでケーキでも食べて来なさい」
連れて行け、と箱を届けた男に目配せで命じた。
まだ父親と遊びたかったのか、それとも箱の中身が見たかったのか、しょぼくれたまま、李の息子は部屋を出て行った。
部屋に一人になると、李は改めて箱の中身の確認を始めた。
「劉(りゅう)か」
写真に写っていたのは、自分が日本に送った殺し屋と、そのターゲットだった。
二人が折り重なって倒れていた。
「失敗したと報告が入っていたが、結果相討ちか?」
茶色のガラス瓶を照明に透かして見た。
「…ではなさそうだ」
中に入って居るのは、眼球だった。
ご丁寧にも二つ入っていた。
最後にカードを広げてみた。
『貴公が仕事を依頼した劉(りゅう)は、当方で始末した。死体は既に処理済みだ。眼球だけそちらへお返しする。日本の桐生に何かしら仕掛けた証拠があがったら、その時は貴公と貴公の一族が眼球だけ残すことになるだろう。 緑龍』
手に持っていたガラス瓶を壁に向って投げつけた。
ガラスは砕け、中に入っていた眼球が絨毯の上に落ちる。
転がった眼球が、李を別々の方向から睨み付けていた。
「ハハハ、…ハハハ。グリーン直々に、この俺を抹殺しようというのか」
笑いながら、李の全身は震えていた。