秘書の嫁入り 青い鳥(13)

「オイオイ、ソッチもかよ…。欲張りだな」
「…どこも…うっ…、かしこも…欲しい…んだ…よっ…あぁ…、バカッ…イイッ」
「待てないのかよ…。訊くまでもないな…待てないよな。好きに弄れ、全く、最高の眺めだな」

勇一に自分の姿がどう映っているかなど、構っている余裕が時枝にはなかった。

「…あっ、もう…イクっ、ぞっ…クッ…」
「えらい、早漏だな……」

下からの突き上げを食らいながら、時枝が爆ぜた。
しかし、勇一は、動きを止めなかった。
時枝も腰を振り続けている。
時枝の放出したモノが、勇一の胸と腹部を濡らしていたが、お互いお構いないしだ。
放たれる時枝の匂いが、媚薬のように二人を更に煽った。

「…ゆういちっ…」

時枝の手が勇一の肩を引き寄せようとする。
上体を起こせと要望しているのだ。
時枝を上に乗せたまま、勇一が身体を起こす。
二人の身体の距離が縮まると、時枝が、勇一の唇に食らいついた。
身体を繋げたまま、勇一の口の中に自分の舌を荒々しく投げ込むと、ディープなキスを強請る。
いろんな女と寝た。
童貞を捨ててから、それこそ遊び回った時期もある。
二人でナンパしまくった時期もある。
心に想う人もいた。
しかし時枝の中で無くすことの出来ない存在が勇一だった。
この世に身内はもう一人もいない時枝だが、唯一、絶対の信頼をおける相手で、気を許せる相手が勇一なのだ。
まさか肉体関係を持つ羽目になるとは思ってもいなかったが、いざ持ってみると、更に絶対の相手になってしまった。
桐生の組に籍を置いてないが、構成員が組長の為に命を落とすことがあるように、勇一の為なら死ねるかもしれないと思うことがある。
決してそれを口に出したりはしないのが時枝なのだが、身体を繋いで興奮している時には、その想いが洩れそうになる。

「…死んでもっ、…イイ…」

勇一の口から、時枝が離れた。
お互いの唇を透明に光る糸が渡っていた。
その糸を無視し、潤んだ目で時枝が勇一を見つめる。

「…勝貴…、まだ、それは早いって」

繋がったまま、突き上げられたまま、あの世に逝くのも悪くない、むしろ、どうせいつかは死ぬのなら、こういう形がいい……、久しぶりの逢瀬で、勇一に惚れている自分を時枝は実感していた。

「…死なせろッ…、」
「イかせろっ、の間違いだろが。…ヤバイぞ、勝貴。お前、メチャ、可愛いっ!」

今度は勇一から、時枝の唇を奪う。
荒々しく口内を犯しながら、自分と時枝の腰を振る。
時枝の唾液が甘い蜜になるのは、感じている証拠なのだ。

「…ン…、ンッ…ン…」

口を塞いでいるため声にならない喘ぎが、鼻から抜ける。

「…、俺も…限界っ、…一回イかせろ…」
「あっ…ゆう…い…ちっ、…熱いッ…あぅ、うっ、…」
「勝貴っ、勝貴っ、…離れるなっ!」

勇一の本音も洩れる。
時枝がキュッと内壁で勇一を締め付けた。

「クソッ、…搾り取る気か…最高ッ…じゃねぇか…うっ…」

自分の上に跨る時枝の中に、遠慮無しに勇一が自分の体液をぶちまけた。
それを感じた時枝も、二回目のモノを放った。

 

 

「…勇一?」

勇一の匂いは残っているのに、姿が見えない。
一人ベッドに残されていることに、時枝は一抹の不安を覚えた。
欲求不満のあまり、淫夢でも見ていたのだろうか?
しかし、確かに鼻腔を擽るのは勇一の匂いだし、この部屋は勇一の隠れ家の寝室だ。
そして何より身体の一部の摩擦による違和感は、間違いなく激しく交わったことを証明していた。
ヤるだけヤッて、横にいないとはどういうことだ?
身体の欲求だけ満たせばいいのか?
と、恨みがましい気持ちが湧いてきた。
会話らしい会話もまだしてない。
やっと会えたのに…。
女々しいなと想いながら、勇一不足が身体だけじゃないことを、時枝は感じていた。
しかも、満たされたはずの身体も、まだまだ勇一が欲しいらしい。
勇一の匂いに欲情めいた反応を見せている。
乳首がキュッと締まった。
全く女じゃあるまいし…、感じてどうするよ…そういえば、市ノ瀬はピアスを嵌めているが、嵌めると感度が増すのだろうか…
そっと自分の乳首に手を当ててみた。
キュッと締まった乳首を左右引っ張ってみる。
…感じないこともないが、やはり勇一の手がいいよな…

「くっ、くっ…ああ…すげぇ…、もっと見たいけど、夕飯にしよう」
「勇一ッ!」

さっきまでいなかったのに、バスロープ姿の勇一が近眼のぼやけた視界に入ってきた。
時枝の顔に、今眼鏡はない。
見られたと羞恥で顔が赤く染まる。