「後の処理…組長さんはしないと思うけど、…あ、俺がいる?」
「お願いできますか?」
「もちろん。なんか、イギリス思い出す」
潤がふと思いだしたのは、黒瀬と初めて関係を持った――強引に持たされたというのが、本当の所だが――ロンドンでの生活だった。
「イギリス?」
「あの時、時枝さん俺の世話とか傷の手当してくれただろ。なんか逆だな、と思って」
「…本当ですね。あれからもう五年ぐらい経ちますか…早いものだ」
潤が時枝の窄みにローションを塗る。
それから指にゴムを着けると、解しに掛かった。
「…声が洩れそうです。…上手ですね」
「嬉しいな。時枝さんに褒められることって、あまりないから。秘書課では、叱られてばかりだったし」
「…恨んでます? …くっ、」
「まさか。感謝してます」
「…良かった…。本当に、…上手ですよ」
「柔らかい。時枝さんのココ、ちょっと触っただけで、もう潤っているし。もしかして、俺の指で組長さんの事想像してるとか?」
「…想像してない、とは言いませんが、あなたの指に動きが…あぁ、ソコは…触れないで下さい」
潤の指が前立腺を掠ってしまったらしい。
「組長さんの為に、良い場所はとっておかないとね」
「…場所なんて、もう覚えてもないんでしょうけど……」
時枝の声が鼻に掛かっていた。
睦み合った記憶も、今直ぐにでも抱き合いと思う愛情も欲望も、自分だけの一方通行なのかと思うと、ドドッと時枝に哀しみが押し寄せて来た。
「直ぐに思い出すよ。ココ、きっと俺のより柔らかだし、包まれたら、気持ちイイって分るよ。俺も男だから。…今更だけど、時枝さんに嫉妬感じちゃうな」
時枝のテンションの低さを盛り上げようと、潤がふざけるように言った。
「私に嫉妬?」
「黒瀬、この中に入ったこと一回じゃないだろ?」
「なっ、…潤さまッ」
時枝の顔が、一瞬で真っ赤になる。
「はは、思い出させてしまった? 黒瀬のって大きいだけじゃなくて、横に張ってるから凄いだろ? 組長さんに負けてないと思うけど」
時枝の中から、潤が指を抜きながら言う。
もうソコは、十分に解れていた。
「…何をあなたはっ、…自慢しているんですかっ。―――その節は、申し訳ございませんでした。私が不甲斐ないばっかりに…社長のその…まあ、私にとっては、犬も社長も同じレベルでしたけど」
「犬? ユウイチじゃないくて、犬だよね…。ゴメン、嫌な事思い出させて。そんなつもりで言ったんじゃないんだ…本当にごめんなさい」
「謝る必要はありません。嫌な思いはしていませんよ。それより、今の私は…」
「組長さんの事で、頭が一杯?」
「その通りです」
潤が時枝の足を閉じようとした。
「広げたままにしておいて下さい。自分では広げられないので、このままで。オムツも必要ありません。毛布だけ掛けて下さい」
スタンバイOKといった状態で、時枝は勇一を待ち受ける気らしい。
「あのさ、時枝さん」
毛布を掛けながら、潤が時枝を見た。
「何でしょう?」
「冷静に考えて、…そのどうやって組長さんを襲うのかなって、ちょっと疑問に思ったんだけど」
「もちろん、気迫です」
真面目な顔で時枝が言った。
「え?」
「冗談ですよ。社長がどうとでもするでしょ。あの人、こういう事なら喜んで手伝うタイプの人間ですから」
「そうだよな。黒瀬、優しいから」
違う、優しいからじゃない、と時枝は瞬時に思った。
が、そこを否定しても潤には通じないと分っているので時枝は不本意ながらも笑顔で頷いた。