「問題あるだろうがっ。あの潤とかいうのと、お前、できてるんだろうが!」
「だから? ふふ、潤の見ている前で、時枝にも挿れたことありますよ?」
「てめぇえっ」
カッと頭に血が上る。
「また怒る。昨日も時枝の話でカッカしてましたね。そこ、橋爪さんが怒るところですか? 兄さんが怒るなら分かりますけど」
そんなこと百も承知だ。
自分でも何故怒りが湧いてくるのか分からない。
ターゲットが誰にケツを掘られようが知ったこっちゃないはずだ。
「時枝のことより、自分の心配した方がいいんじゃないですか?」
「なッ!」
黒瀬の脚が橋爪の脚に絡み付き、左右にグッと広げられた。
「脚が長いと、何かと便利ですよね」
大股開きの状態だ。
剥き出しの中心にヒンヤリと冷たい空気が纏わりつく。
「ふふ、どうです。下半身を無防備に晒され、後ろは犯される一歩手前の状況」
押しつけられた物が、ムクムクと動く。
「勃起しているのか? てめぇは、誰にでも勃起する節操なしかっ!」
「嫌だな。そんなはずないでしょ。潤の顔を思い浮かべただけで、反応するんですよ。ふふ、申し訳ないですが、橋爪さんの尻に欲情する変人は、あなたが殺そうとした時枝ぐらいですよ」
「なら、ソレを間違っても俺に使用するなよっ」
「どうして?」
会話にならない。
「どうしてもだっ!」
「嫌がる事しないと、お仕置きにならないじゃないですか? あなたが昔、潤にしたことを思えば、時枝の報復関係なくても、嫌がらせとしてこの分身を使ってもいいと思いますが」
「俺は橋爪だ。お前のイロに何かした覚えはない」
黒瀬の先端が濡れてきているのを感じる。
本当にやる気なのか、と橋爪が焦る。
「ふふ、殺し屋さん。もしかして、怯えてます? 冗談ですよ。コレ、使用したらベッドが血で汚れますから。潤の血なら歓迎ですけど、あなたの血はごめんです。それよりも…」
バタバタバタと音がして、犬――トイプードルのユウイチが駆け足で戻って来た。
「ユウイチだけ? 潤はまだかな」
ぴょんとベッドに飛び乗ると、橋爪と黒瀬の絡み合った左右の脚を、交互に飛び越し遊び始めた。
「お待たせ」
今度は潤だ。
手にプラスチック製のスプレー容器を握っている。
「冷蔵庫に入れてあったので、人肌に温めてきた」
「潤は優しいね。冷たいままでもよかったのに」
「それだと、ユウイチが可哀想だろ? 時枝さんと離れているだけで精神的に凄く不安だと思うのに、そのうえ冷たい物なんか舐めさせたら、腹壊すよ」
二人の会話で、橋爪は黒瀬のいうお仕置きが何であるか、おおよその見当が付いた。
「そのチビを降ろせっ!」
「チビって、ユウイチですか? ふふ、何が始まるか、もうお分かりのようですね。潤、ユウイチが満足できるようにタップリと掛けて」
潤もベッドに上がる。
手にしていたスプレー容器を橋爪に向けて構えると、ユウイチに待てを命じた。
ユウイチがベッドの端にちょこんと座ってキャンと鳴く。
嬉しそうに指示に従うのは、ユウイチにもこれから何が始まるか分かっているからだろう。