秘書の嫁入り 夢(27)

勇一の目に飛び込んできたのは、時枝の顔を尻尾を振りながら舐めるユウイチの姿だった。
泣いた痕跡を舐め取っているようだ。
顔ぐらいならまだ許せる範囲だと思っていた勇一は、次のユウイチの行動で『絶対、剥製してやる』と考えを改めた。
ユウイチが時枝の上を移動し、今度は胸部一体を舐めだした。

「こら、くすぐったい…ユウイチ、慌てない…そうそう、良い子だ……あぁっ、駄目だって…そこは…」

最初、時枝の肌に粒になって浮かぶ汗を舐めていたユウイチが、時枝の乳首にしゃぶりだした。

「…ミルクは出ないぞ…、まだまだ、赤ちゃんだな…あぅ、引っ張るなって…」
「我慢ならねーッ。退けろそのクソ犬ッ! 犬が人間さまの乳首吸うなんて、聞いたことねえっ、分っててやってるんだろ、エロ犬めっ!」

あのDVDに映っていた時枝を犯した犬でも、愛撫するようなことはなかった。
興奮して、時枝を犯すことだけに没頭していた。

「勇一、この子はまだ子どもなんだ。発情している訳じゃないっ。母親が恋しいだけなんだろ。邪な目で見るな」
「そうかよ。悪かったよ。俺が、母親が恋しいって言えば、お預けは無しか? あ? 勝貴ママ、俺にもオッパイ吸わせろっ!」

勇一が蹴落とされた床の上からベッドへ戻ると、ユウイチが口にしてないもう片方の乳首を口に含んだ。

「なっ、駄目だっ、…あぁあぁ…敏感になってるのに…」

ザラザラしたユウイチの舌と、肉厚で滑らかな勇一の舌が尖りを弄る。
双方が別々のリズムで時枝の乳首を吸引する。
二つの舌から与えられる甘痛い快感に、時枝が溜まらず悶えだした。

「ぁあっ、こらっ、二人のゆう…いちぃ…、引っ張るな…ぁ、あ…いいっ、すごい…」

緩急の快感で時枝の雄に熱が籠り、先程まで勇一が収まっていた場所も疼く。
ユウイチが、ふん、と鼻を鳴らし、勇一の視界から消えた。
どこに行きやがったと時枝の乳首を咥えたまま、視線だけを移動すると、

「あっ、…ユウ…イチッ、だから…そこは…今日は、カスタードクリーム…ないのに…」

カスタードクリーム? 
時枝の意味不明な言葉と共に、時枝の大事な部分をペロペロと横から舐めるユウイチの姿が、勇一の視線の先に飛び込んだ。

「あの写真は、日常だったというのかっ! 勝貴、どういうことだっ!」
「怒鳴るなっ、…バカッ、…おしゃぶり代りに決まってる…だろ。子犬用…のガムと…一緒だ……但し…俺は…感じてしまうけど…」

バター犬じゃないかっ!

「クソ犬がどういうつもりか知らないが、勝貴の方が…」

ユウイチの愛撫に嵌っているんじゃないか…と、勇一はガックリと来た。
対極に身を落としてしまったのかと、勇一はショックさえ感じる。
恐怖心が和らいだことは嬉しいが、この先、俺だけじゃ満足できないんじゃないか、と変な不安が勇一の中に沸く。

「…勇一、お前…そろそろ、仕事しろっ!」
「は?」
「…見て見ろ、ユウイチが…俺の尻…舐めだしたじゃないか…あっ、…ユウイチ…ソコは、駄目だって…教えただろ?…ああ、血を、舐め取ってくれたのか……良い子だぁ」

勇一がショックを受けている間、ユウイチの興味の先は時枝の雄芯から尻の周りのこびり付いた血に移っていた。

「…勇一っ、早くっ! …ユウイチが、懸命にやってくれてるのに、何を遊んでいる。このまま、ユウイチに俺の中まで渡す気じゃないだろうな?」

そうか、と勇一は時枝の真意に気付いた。
ユウイチはダシだった。

「お前、ホント、俺のこと惚れてるよなぁ」
「バカ、今更なこと言うなっ、ユウイチにヤキモチ妬く暇があったら、やることやれ。ユウイチ相手に負けるようなテクじゃ、俺はユウイチを取るぞ! この、浮気者ッ!」

わざと見せつけたかったのだ。
こんなにも仲がいいんだと。
あの写真は日常になりつつあるぞ、と。
今度また逃げるなら、自分は動物にだって慰めてもらうことができるんだ、と。
逃げることは許さないと言っているのだ。
例え時枝自身が逃げようとも、追いかけてこい、と言っているのだ。

「そこまで言われちゃあ、頑張らない訳にはいかないな。退け。そこは俺様専用の場所だ。お前はせいぜいオッパイでも吸ってろ」

乳首ぐらい、吸わせてやるさ。
それで興奮が増すなら、バイブレーターと同じだ。
ユウイチを時枝の腹の上に置き、ユウイチが舐めていた場所を今度は人間の勇一が舐める。

「あ~あ、このクソ犬と間接キスかよ。あとで、口直しさせろよ」
「ぐずぐず言ってないで、さっさと挿れやがれっ、」
「口、パクパク開けて、や~らしい眺めだな。食付けよ」

ユウイチに愛撫される時枝の姿だけで、勇一の雄は成長している。
猛ったモノを宛がい、時枝の脚をV字に肩に担ぐと、体重を掛け押し込んだ。

「…イイッ! 勇一ッ、…最高…」
「クソ犬、ママのオッパイ、吸ってやれよ」

勇一が合図だというように、口でチュッ、チュッと音をたててやる。
さっきまで、ライバル視していた一匹と一人は、この瞬間から共犯者になった。
任せとけという目で勇一を一瞥し、ユウイチは時枝の乳首を甘噛みしながら、吸い始めた。

「ぁあう、同時に…って… ――あ、やっ」
「ん? イヤなのか? 止めるか」
「――違うっ、…分ってて…いう、…なっ。あぁあ、だめっ、…悪い子に…悪い男だ……良すぎてっ―――ぁああっ」