秘書の嫁入り 青い鳥(5)

「ね、恥ずかしい状態だろ?」

潤の尻に硬い物があたる。

「潤の顔を社内で見る度に、ドキドキするし、泣きたいのに我慢している顔をみるだけで、欲しくなってしまう。さあ、私の恥ずかしい所を直接見て」

また潤の腰を持ち上げ、股間からずらして降ろす。
スラックスのファスナーを開けると、自ら猛ったものを取り出した。

「…黒瀬…凄い……」
「触って欲しいな」
「いいの? だって…ここ…」
「ここは治外法権エリア…このままじゃ、仕事にならないし…可愛い潤に鎮めて欲しい」

仕事という言葉に、潤は弱い。
そして、もちろん、黒瀬の求めにも弱い。
昨晩だって、散々触ったモノなのに、会社というシチュエーションが潤に緊張感を与え、手が震える。

「ふふ、潤、扱いてくれる?」

耳元で囁かれた。
楕円形で、信じられないサイズを誇るソレを潤が愛撫するときは、両手を使う。

「潤…あぁ…、いい気持ちだよ…。ご褒美」

黒瀬は潤が膝から落ちないよう回していた手に力を入れ、潤の上半身を自分の胸に引き寄せると、近くなった潤の唇に口吻をする。
その黒瀬の口吻と、手の中で更に雄々しくなっていく黒瀬に潤の方が我慢できなくなってきた。
キスだけでも潤の身体は陥落する。
更に手の中の物が、体内に収められた時の快感を思い出させ、身体が火照る。
黒瀬が一旦潤の唇から離れ、潤の様子を楽しむ為に間をあける。
潤の双眸が、自分を欲して誘ってくる。
興奮してきた時の潤は、目の縁がほんのり赤く色づく。
間を空けると、どうして? と、瞳が問うてきて、黒瀬には堪らない。

「…黒瀬…」

キスの続きは? と言いたいのだろう。

「ふふ、潤、どうしたの? 手が止まりかけてるよ?」
「…意地悪…してるだろ?」
「ご褒美はあげたよ?」
「…そんなぁ…黒瀬~」
「夫婦間でも、言葉は必要だよ、潤? 要望があるなら、言ってごらん」
「…やっぱり…意地悪…バカッ…あっ、」

黒瀬が潤の唇を再度塞いだ。
そして、また潤の中の燻っているものを煽る。
黒瀬の舌に潤が舌が絡める。自分の欲望を分かって欲しくて、おねだりのキスを試みた。

「…んっ…」

潤の鼻から、甘ったるい息が抜ける。
その声とも言えぬ音に、潤の手中の黒瀬の一部が、更に硬度を増す。

「ふふ…、困った子だ…。だから、言葉で表現してごらん?」

潤から離れた黒瀬は、あくまでも潤に言わせようと試みる。

「…そんなに……苛めるなら…」

仕事での涙とは違う拗ねた表情で、潤が目を潤ませる。

「苛める? 苛めてないよ?」
「…苛めるてる…苛めるなら、今日は一緒に……」

寝ない、とでも言い出すのかな、と黒瀬が予想する。が、潤の続きは違った。

「風呂に入らないっ!」

余りの可愛い内容に、思わず黒瀬も吹き出してしまった。

「…酷いッ…黒瀬のバカッ! 俺との入浴、大事じゃないんだっ!」

イギリスでの出来事を思い出すと、この潤のこれほどまで可愛い言動が信じられない。
別に潤が他の青年より、子どもっぽいわけではない。黒瀬の前でだけだ。
黒瀬の兄は所謂(いわゆる)極道者なのだが、その極道と対峙し、啖呵を切る度胸もある。
まして、普通の青年なら、耐えられるはずのない試練の数々を乗り越えてきた男だ。
芯はかなり強い。
それこそ、時枝を持ってしても、潤には一目置いている。
が、この可愛い言動…どちらかといえば、黒瀬の方が潤にメロメロなのだ。
潤が黒瀬の猛ったモノから手を放し、黒瀬の胸をバンバンと叩きだした。

「ゴメン、ゴメン。てっきり、今日は一緒に寝ないって言い出すのかなって思って…」

その言葉に、今度は潤が涙を放出させた。

「バカッ、バカッッ…酷いよぅ…黒瀬のバカッ! 俺が黒瀬と寝ないなんて…できるはずないだろっ……そんなこと言い出すはずないじゃないかよぅ…今だって…」
「今だって、何だい? 言ってごらん」
「…黒瀬と寝たくて堪らないのに…うっ…、ヒック…ヒック…」
「やっと、言葉が聞けたね…。潤は今、俺が欲しいと思ってくれてるんだよね?」
「…さっきから、そう言ってる~…のに…黒瀬が…苛めるっ……」

言葉にしてなかったのだが… 興奮状態の潤は、自分が言ったつもりになっていた。

「ふふ、社長を欲しがるなんて、困った新入社員だ…。そんな淫乱な新入社員には、お仕置きが必要かな?」

お仕置きの言葉に、潤の身体がピクッと動く。