秘書の嫁入り 青い鳥(33)

二度と目にすることはないと思っていた勇一の分身を目にし、時枝の目頭が熱くなる。
一旦時枝の上から降りると、時枝の足を広げグイッと膝から曲げ、その間に勇一は自分の身体を置いた。
時枝の身体を少し押し上げると、勇一が覗き込む。
昨日、酔って寝てしまった時枝には、風呂に入ったかどうかの記憶もなかった。
どんな有様になっているのかと、恥ずかしくて堪らない。

「誰にもやらせてないだろうな?」

確認したかったのは、他の男の存在らしい。
時枝が首を縦にふる。

「だが、他のヤツと寝るつもりだったそうじゃないか」
「…それは…」
「違うのか? 違わね~よな?」

ヤクザそのもののドスの利いた口調に、勇一の怒りの深さを感じる。
宣言通り、勇一は時枝に対して、愛撫どころかなんの準備も施さず、自分のいきりたったモノを押しつけてきた。
解されもせず潤滑油もなく、ぶち込まれるという経験はない。
それを目にした経験は幾度かあるし、その手伝いをした経験もあるが、自分が体験したことはなかった。
このままぶち込まれたらどうなるかは、結果は見えていた。
激しい痛みと裂孔による出血。
当分排泄さえ困難だ。
ブルッと身体が震えた。もちろん恐怖でだ。
しかし一方で、これくらいの責め苦は当たり前だと思う自分がいた。
酷い扱いでも、勇一はまた自分と身体を繋げようとしている。
怖いのに嬉しい。

「勝貴、これは強姦か? 違うよな」

勇一の言わんとしていることが、時枝には痛いほどよく分かる。
別れてしまった二人なら、一方的な暴力行為だろう。
だがお互いまだ気持ちがあり自ら受け入れる気持ちがあるなら、いくら出血しようが痛がろうが酷い扱いだろうが、それは愛情の上の睦み合いでしかない。
勇一の目が、真剣だ。
まるで勝負を挑むような目付きだ。

「…強姦じゃない」
「それでこそ、勝貴だ」

二人の真剣勝負が始まった。
音がした。皮膚と肉が裂ける音。
同時に強烈な痛みを伴い、勇一が時枝の中に入ってきた。

「――ッ、は、あぅ」

歯を食いしばる。
決して痛いとは言いたくなかった。

「普通に動くぞ。いいよな」
「…あぁ、…構わない」

最後に勇一をそこに迎え入れたのは、いつだったろう。 
使われてない道は狭くなっていた。
まして、何の準備も施されていない。
時枝に拒む気はなくても、痛みで身体が勝手に勇一を拒む。
勇一にとっても、気持ちいいどころじゃないはずだ。
押し出そうとする内壁の顫動に逆らって狭いところを無理に押し進めている。
勇一の額に汗が滲んでいる。
自分の流す血の匂いが鼻に付く。
潤を黒瀬が強姦したときの事がふと時枝の脳裏に浮かんだ。
改めて、自分は酷いことをあの子にしたんだ、と猛省した。
怖かっただろう。
覚悟があって、勇一を受けて入れている自分でも、多少の恐怖感はある。
入口付近だけ、滑りが良くなった。
もちろん要因は裂傷から吹き出る血だ。
裂れ痔決定だな、と痛みから逃れる為に自嘲した。

「余裕だな、勝貴」

普通に動くと宣言した勇一だったが、半分まで進んだところで、このままだとこれ以上の進行は無理だと判断したのか、一度入口付近まで引き下がった。
時枝の流す血を自分の雄に擦り付けるよう入口を捏ねると、赤く染まった中心を一気に最奥までねじ込んだ。

「―――…っ、ァああっ…! 」

勇一とのセックスで、ここまでの痛みを感じたことは一度もない。
最初は痛みも多少あったが、流血もなければ、潤い不足の内部を突き上げられたこともなかった。
荒々しい行為の時でも、時枝の身体を気遣うことを勇一が忘れたことなどなかった。

「…は、…は、…は」

時枝が必死で呼吸を整える。

「…ゆういちっ…、」

時枝が手を伸ばし、勇一の身体にまわす。
酷いセックスでも、求められることが時枝には嬉しかった。
勇一の身体が全て収まったのだ。
時枝の胸に、熱い雫が落ちる。
勇一の涙だ。

「…勇一…、ばか、痛いのは俺だ」
「お前の中が締め付けて、イテェんだよ」

涙の本当の意味は分からない。
だが、きっと、自分と一緒の気持ちなら、こうして身体を再び繋げたことに感極まったのかもしれない。

「ァあう…、容赦ない…なっ」

照れ隠しのように、勇一が激しく腰を振る。
東京から福岡に飛んで来てくれた勇一の優しさを、この暴力的な行為の中、時枝はヒシヒシと感じていた。