秘書の嫁入り 青い鳥(17)

「…ゆうい…ち…、また…きた……はや…くっ、なんとか…してくれっ…」
「どうしようかな? 勝貴、俺様のよりバイブが好きらしいという情報が、たった今入った。俺ので満足できないなら、俺、勝貴が悶えるの、横で見てるだけにしようかな~」
「…意地悪言うな、…ほうび…くれる…って、いった……ゆうい、ちっ!」
「だいたい、仕事ばかり優先して、俺様、いつも淋しいし、愛されてないしな~」

勇一が、時枝を焦らし始めた。

「…て、めぇ…、おれを、…ほう…っておく気か……、もう…ガマン…できそうも…ない…ゆう、いちっ…なんとか…してくれ…」
「どうしようかな?」
「おまえが…欲しいんだ…、わかれ…、この、おたんこ…なす、がっ」

蓑虫がみのを剥がれたようにくねっている。
時枝が、潤んだ目で、勇一を睨み付けた。

「しょうがねぇな。褒美やるから、素直に言葉吐けよ」

勇一も少しドリンクを飲んでいるので、直ぐに元気になるのだが、ドリンクよりも目の前で悶々とする時枝の姿の方が効いた。
時枝の股を大きく開くと、グッと求めるモノを一突きで与えてやった。

「ぁぁあっ、イイッ…、ゆういちっ!」

時枝の爪が勇一の肌に食い込む。
今日一日で、極道者の背には傷が無数に出来ていた。

「…すきっ、…だぁああっ!」
「はぁ、いいねぇ、その言葉。勝貴の口から聞けると、涙出てくるわ…そら、もっと、言ってくれ」

焦らした効果が出たようだ。
普段の時枝から聞くことのできない言葉を聞けて、勇一はもう止まらくなった。
勇一の場合、ドリンクは必要なかったかもしれない。

「…ゆういち、ゆうい…ちっ、…すき…、すきっ…あぁっ、あん、…ヤダ…ヤダ…ヤダ……」

あれ、いつもと違うパターンじゃないのか?
時枝の口から、子どもが駄駄をこねるような喘ぎ声が洩れる。
そういや、会社でもおかしかったらしいと、昼間、武史に言われたことをまた思い出した。

「ヤダ…あぁ…、離れるな…、ヤダ…すきなんだ…あん、あう…淋しかったんだ…あぁああっ」

勇一が喘ぎ声かと思っていたものは、半分が泣き声だった。
ここに来て、やっと時枝の理性が完全にぶっ飛んだらしい。
理性というより、正常な思考がぶっ飛んだらしい。
本心だけが洩れる。

「勝貴…、やっぱり、お前は、可愛いよ。いつもは男らしいけどよ…おっと、締めすぎだって…ほら…もっと啼けっ!」
「…青い鳥…が…はっ…あぁ、戻ってきた……あぁあ…青い鳥……ゆういちっ…」
「青い鳥って、もしかして、俺の事? 俺が逃げてた訳じゃ、無いんだが…ずっと、お前の肩に留まっててやるぞ?」
「…飛んで行くな…それはヤダッ……もう、もどれ…ない」

勇一には何が戻れないかは分からなかったが、時枝が自分と離れたくないと心底思っていることは感じた。

「アホだな…自分から、俺を避けてたくせに。俺様が、勝貴から、離れたことは一度もないぞ? 愛してるんだから。オイ、聞こえてるか???」

勇一を体内に残したまま、時枝は失神していた。
恐ろしい量の絶倫ドリンクを摂取させられた、時枝の身体はもう限界だった。
本来の時枝なら耐えられる量でも、今の時枝は疲労が溜まっている状態だ。
興奮状態が続けば、身体が悲鳴を上げるに決まっている。

「…ゴメン、勝貴、寝ているお前でイかせてもらう。夢の中で感じてろ」

一人残された勇一は、意識のない時枝の身体の中で果てるのは、時枝をダッチワイフのように扱っているようで後ろめたい気になったが、抜こうにも、あまりに時枝の中が良すぎて、誘惑に勝てなかった。

「意識ないくせに、中が顫動って、どんだけなんだ? はぁ、いいっ!」

閉じた目からは、涙の筋が幾つも出来ていた。
泣きながら失神した時枝の顔を見ながら、勇一は爆ぜた。 
時枝の内部に入ったまま、勇一が時枝の涙の跡を舐め、そして、唇に軽くキスを落とす。

「俺が、一生守ってやるからな。なんて、起きているときに言うと、『俺は女じゃねぇ!』と殴られるだろうな。俺を一生守って下さいでも、いいんだが……死ぬときは一緒がいいよな…手を繋いで、二人同時に老衰で~なんてどうだ? 老人ホームで、係りの人が見に来たら、ジジィが二人、手を繋いで安らかに死んでたって、最高じゃねえか? なぁ、勝貴。好きだ……」