ヤクザ者Sの純情!27

黒瀬が、大喜に近づいて来た。大喜が後退る。

「堅物の佐々木をビックリさせてやろう」

黒瀬の手が大喜の肩に触れる。

「ダイダイ、裸になりなさい」
「あ?」
「大好きな佐々木を裸でお出迎えって、いいと思わない? それも、ふふふ…縛ってあげる…人質らしくね」
「馬鹿なこと言ってるんじゃね~っ!」

大喜は黒瀬を両手で押し退けようとしたが、ビクともしない。
それどころか、伸ばした両手を黒瀬に掴まれてしまった。

「潤、本宅から縄を借りてきて」
「了解。ダイダイ、ごめんね。でも、きっと佐々木さんも喜ぶよ」

黒瀬は武道にも通じているようで、大喜の抵抗など子どものじゃれつき程度にしかならない。
あっという間に素っ裸にされた。

「ちょっと、ごめんね。ふふふ」

黒瀬の目が好奇で光る。身の危険を感じ、大喜は前を両手で隠し、後退った。

「…オイ、近づくなっ! ヒィッ」

黒瀬の両手が大喜の両足首を掴むと、グイッと上に持ち上げた。
尻を支点に大喜の上半身は後ろに倒れた。
黒瀬の手が足首から太腿の尻に近い部分に移り、尻を開くように押し上げられた。

「止めろっ、変態ッ、コノヤローッ!」

赤ちゃんのおしめを替えるような形で、尻の窪みを黒瀬に晒していた。
黒瀬の顔が大喜の秘部に近づいてくる。

「黒瀬、あったよ。うわっ、ごめんッ!」

素っ裸の大喜の局部を覗き込む黒瀬に、嫁の潤は見てはならぬ物を見てしまったと入ってきた部屋を直ぐに出た。

「潤、おいで。面白いから」
「…えっと…、その…まさか…黒瀬が、その子に…」
「猿の尻の観察しているだけ。いいから、入っておいで」

一瞬、浮気現場に遭遇かと思った潤だったが、黒瀬の言葉に安堵し黒瀬の側に寄る。

「潤、どう思う?」
「まさか…、佐々木さんが受け? ダイダイ、そうなの?」

潤まで一緒になって、大喜の窄みを凝視する。

「あんたら、変態カップルかっ! 人の肛門ジロジロ、見てんじゃねぇよ」
「寝たって言ってたけど、突っ込まれてはないね。となると、指ぐらいでギブしたとか? それか潤の言うとおり、このお猿さんが、佐々木に挿れだか。どっちだろ? 潤はどっちだと思う?」
「俺は指だと思う」
「じゃあ、私は佐々木受けに賭けよう」

大喜をそっちのけで、二人は賭け事に走っている。

「人の身体で賭けるなっ!」
「人生には遊びもないとね。で、ダイダイ、どっち?」
「オッサンに訊けばいいだろ」

もちろん、どちらも違う。
指も突っ込まれていないし、大喜が佐々木を犯ってもいない。

「ふふふ、そうだね。じゃあ、縛って待つとするか」

昨夜、佐々木にグルグル巻にされた時より酷かった。
裸の体に直接縄を巻かれた。
問題はその形だ。
尻を割り開いたままで、縄を掛けたのだ。
足をM字に開脚し、そのまま閉じられないように臑と腿を一まとめに縄を渡していく。
上半身は乳首を挟むように縄を掛けられ、手は後ろで一つに固定された。

「黒瀬、凄いっ、芸術的だ」
「ふふ、潤にもやってあげてるだろ? 潤には、もっと本格的に縛っているよ」

早くオッサン戻って来てくれよ。
この変態カップルから、早く解放してくれ~~。
大喜は恥ずかしい格好で、佐々木の一秒でも早い到着を願った。

「ボン、遅くなりました」

佐々木がやっと戻って来た。
大喜達のいる離れの部屋に入るなり、土下座で詫びた。
中をゆっくり見る余裕もないのか、まだ大喜の痴態に気付いてはいない。

「人を呼びつけておいて、兄さんもいなけりゃ、佐々木もいないとは。しかも、名前、いい加減覚えてよ。やはり、一回東京湾に沈めようか? それとも、富士の樹海がいい? 希望はどっち?」
「申し訳ございません、ボ、いえ、武史さま」
「それか、この子を佐々木の替わりに沈めてもいいけど」

そこで、佐々木が顔をあげた。

「…なっ!」

あられもない格好の大喜に、佐々木は大きく口を空け、目を見開き、固まってしまった。

「どうした、佐々木? ダイダイの晴れ姿に目を奪われたとか?」
「オッサン、どうにかしてくれよぅ」
「…」

佐々木には刺激が強かったのか、瞬きするのも忘れ、大喜の姿を惚けた顔で見つめている。

「オッサン、見てないで、縄外してくれよ。俺の裸なら、今じゃなくてもいつでも見せてやるからさ。早く外してよ」
「…ダイ…ダイ…、」

やっと正気に戻ったらしい。
佐々木が大喜の名を口にした。

「何て…格好してるんだっ、このドアホがっ!」

茹で蛸(ゆでだこ)から蒸気が出ていた。
もとい、佐々木の頭から蒸気が昇っていた。
鬼のような形相で立ち上がり、縛られ転がされている大喜の側に行く。
佐々木の拳骨が大喜の頭に飛んだ。

「イテ~。どうして俺を殴るんだよ。そこの変態二人に無理矢理させられたんだろ。ひで~よ」

大喜には佐々木がどうして怒っているのか分からなかった。
怒る相手が違うだろ、と反抗的な目で大喜が佐々木を見上げた。