ヤクザ者Sの純情!32

「寒いんじゃねえよ。オッサンが、優しく洗ってくれるから、感じちゃったんだよ」

椅子を支点にぐるっと体を回し、大喜は佐々木の正面を向いた。

「わざと感じるようにしたんだろ? 責任とれよ」

自分の先端を指で弾きながら、佐々木に詰める。

「…責任って、俺は洗ってやってただけだ……後ろ向いててやるから…その…アレだ…自分で…抜け」
「ヤクザっていうのは、自分の原因で招いたことに責任とらねえのかよ。人のこと人でなしとか、なんとか、説教しといて、こういう時は逃げるのかよ」

このチャンスを大喜が「はい、そうですか」と逃すわけがない。
大喜が佐々木の腕をガッシを掴み、逃がさないぞと佐々木を見上げた。
そのままゆっくり立ち上がり、佐々木に詰め寄る。

「…ダイダイ、」
「まさか、俺にオナニーさせねぇよな? オッサンがしてくれるよな? 大人だもんな。ちゃんと責任とってくれよ」

大喜が佐々木の腕を自分の方へ寄せる。

「握れよ」
「……こういう事は…その、アレだ…男同士でやりあってもな…」
「愛がないから駄目だとか言うなよ。今日の俺は、オッサンの不始末のせいで、どんだけひでぇ目に遭ったと思ってるんだよ。なのに、逃げないでここにいる俺って、オッサンを愛している証拠だろ。オッサンだって、少しぐらい俺を愛してくれても、いいんじゃねえ? 見ろよ、この体中の縛り痕」

乳首を挟むように渡った縄の痕を、佐々木に見せつけるようにグイッと胸を突き出す。
佐々木が真っ赤になり動揺しつつも、欲情の色を目に浮かべだのを大喜は見逃さなかった。

「…ダイダイ」
「ご褒美くれよ。オッサンの中で処理で片付けてくれてもいいからよ」

佐々木の指先が、恐る恐る大喜の竿に触れた。ビクッと、大喜の身体も佐々木の身体も撓った。

「…今日だけだぞ? いいか?」

照れを隠したいのか、佐々木が真っ赤な顔のまま、眉間に皺を寄せる。

「ああ」

大喜の声が震えた。
やっと、佐々木が自分の身体を弄る時が到来したと、尋常でない期待と興奮が内側から湧き上がってくる。

「向き合ってはやりにくい。反対向け」

純情ヤクザは腹を決めたらしい。
迷いのない声で命じた。

「あっ」

佐々木が大喜の身体を引き寄せた。
肌を密着させ、佐々木の左手が大喜の腹を抱え込むように回り、右手が大喜の竿を硬さを確かめるように握った。
大喜の背中の下、ちょうど尻の肉が二つに割れはじめる部分に佐々木のボコボコした一物が当たる。
男の節の太い手で握られた経験はない。
昼間、黒瀬に縄を掛けられた際、触れられたが握られてはいない。

「釣り上げられたばかりの魚みたいだ。ピクピク手の中で跳ねてる」
「…オッサン、意外とエロオヤジなんだ…」
「感想を述べたまでだ。サッサとイけよ、くそガキ」

大人をからかった罰だと言わんばかりに激しく手が動く。
激しいだけなら女でもいるが、弱い所は確実に同性の方が知っている。
女ならソコもっととか、注文を出したくなるが、その必要もない。
ツボを抑えているから、良くて当たり前だ。
佐々木に触られていると思うだけでも興奮しているのに、鏡の中で男に弄られている自分の姿に酔いそうになる。

「…ヤバイよ…、オッサン…、もちょっと、スピードダウンしてくれ…あ、」
「ガキは早いな」
「…早漏扱いすんなよ、…あっ、マジ…、あぁ…、」
「早漏だ」

トドメだと爪を蜜口にグリッと埋め込まれれば、もう我慢できない。
脇腹に渡る佐々木の腕を掴み、グッと大喜の身体が後ろに反る。

「…うっ、…――ぁ」

大喜が放ったものが、鏡に飛んだ。

「―――スッキリした~~~」

やれやれと、佐々木の手が大喜の萎んだ中心から離れた。
が、直ぐにその手は大喜の手に捕まった。

「もう、いいんだろ、早漏」
「早漏って言うなっ! オッサンが上手すぎなんだ」
「ムキになるな、くそガキ。手を放せ。もういいだろうが」
「掴んでないと、逃げようとするだろ。まだ、終わりじゃないぜ、オッサン」

大喜の放出したものが、ダラ~ッと垂れた鏡越しに、意味ありげな視線を佐々木に向けた。

「俺の背中に当たっていたもの、形変わってるだろ、なあ、オッサン」
「…だ、だから、って、お前に関係ないだろうが…」
「俺がお返しに、やってやる。なんなら、そのまま、割れ目に突きたてる? 俺のケツ貸してもいいけど?」
「アホぬかせっ、このくそガキ、手を放せ。お前の拙い手淫なぞ、期待できるかっ! そ、そ、そんな小さなケツなんぞ、いらん」

佐々木の黒目が落ちつきなく動く。
佐々木が動揺しているのが、一目瞭然だ。
ぐるっと大喜が向きを変え佐々木と向かい合うと、動揺している佐々木が動く前に、佐々木の中心を握った。