その男、激震!(164)

★文庫の帯プレ第二弾…制作中。。。ちょっと遅れていますが、お待ち下さいネ。★

小学生でも起きているであろう夜の九時。 
桐生勇一は早々と自分のベッドの中で寝息をたてていた。
――重い…苦しいッ
布団の上から押さえ付けられる感じに、勇一の睡眠が途切れた。
――これが、世にいう金縛りってやつか?

「起きて…勇一さん…」

耳元で性別不明の声がし、

「ひ、ヤ~~~~ッ 出て行け、悪霊!」

勇一が、目を堅く閉じたまま叫ぶ。
声が出た段階で、もはや、金縛りではない。

「巫山戯(ふざけ)てないで、起きてよ、勇一さん。私と一緒に来て」
「悪霊退散、悪霊退散…」
「酷いわ、人をお化けみたいに。いい加減に目を覚ませ、このアホ組長!」

途中から聞き覚えのある声に変わる。

「はあ?」

知っている声に、勇一が跳び起きる…ことは身体を覆うズッシリした重みで出来なかったが、布団から顔を出し、目を見開いた。

「―――ッ、出た!」

暗闇に浮かぶ、髪の長い女のシルエット。

「屁でも出たのかよ。一々うるせ~」

だが、その声は、明らかに…

「お前、大喜か?」
「ああ、そうだ」

勇一に跨がる長髪がハッキリと答えた。

「…どうなってるんだ? 女にくそガキの生き霊が取り憑いた…とか?」
「ああ、もう、ウゼ~肝の小さな野郎だ」

シルエットが動き、勇一の上から重みが消えた。
カチッと小さな音がし、部屋が明るくなる。

「…あの、どちら様?」

知らない女が立っていた。

「だ~か~ら~、俺! 俺だって言ってるじゃん。生き霊じゃなくて、肉体からして、俺。大喜だ」
「本当に大喜か? 佐々木んとこのくそガキか?」
「ああ、オッサンところの優秀な大喜様だ」
「――夜中に何をやってるんだ!?」

女装した大喜に、素直な疑問を勇一がぶつける。

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