「料理はあとからお願いします」
結局、時枝に生ビール、大喜は生ビールとウィスキーを注文した。
「かしこまりました。ご都合のよろしいときに、ご連絡下さい。時間制限ありませんので、ごゆっくりどうぞ」
アルコールとつきだしが届く。
大喜は食事前に話を終わらせたかった。
「お疲れ様、です…というか、今から疲れさせます」
取り敢えずの乾杯だ。
時枝とこうして二人きりで酒を酌み交わすのは初めてのような気がする。
「無茶な飲み方しますね」
ビールを一気に半分まで飲んだ大喜は、その中にウィスキーを全部移し、ビールと混ぜた。
「素面じゃ、俺も話せないというか…」
それを大喜は勢いよく喉に流し込む。
「さて、伺いましょう」
時枝がグラスを置き、姿勢を正して大喜を見る。
「…足、投げ出してください。後遺症あるんでしょ?」
「少し攣りますが問題ありません」
時枝に姿勢を崩す気はないらしい。
「えーっと、今から話すことは、アイツは知りません」
「あいつ?」
「失礼しました。…組長は知りません」
「勇一が知らないが、勇一に関係することということですね」
「…そうです。それで時枝さんにとって、かなり辛い話だと思う…でも、他に相談する人がいなくて…」
「続けて下さい」
ルーシーの顔をしていても、時枝は時枝だった。
真っ直ぐに大喜を見据え、自分は大丈夫だと示す。
グイッと、グラスに入っていた液体を全部飲み干してから、大喜が先を続けた。
「…組長に、親子鑑定を受けて欲しい子どもがいます。その子の母親の余命が残り僅かで…、育ててくれる大人が必要なんです。組長がその子の父親である可能性が高い…というか…まず、間違いないと思う……時枝さん、ごめんなさいッ!」
大喜が頭を下げる。
「ダイダイ、頭を上げなさい。あなたが頭を下げる理由がどこにもありません」
時枝の声に動揺はみられない。
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