その男、激震!(160)

タクシーを拾い、大喜の予約していた居酒屋へ向かう。

「ここです、ルーシーお姉さま」

通りでタクシーを降りると大喜が時枝を店まで案内した。

「女の子が沢山だわ。ここなら安心かも」
「でしょう?」

店の前には、待ち合わせだと思われる女子がたむろしていた。
女子向きのヨーロピアンの外装は、男性にはちょっと恥ずかしいものがある。
一歩間違えれば、一昔前のラブホテルのような感じだが、そうなっていないのは、設計士やデザイナーの腕だろう。
どこの事務所の仕事だと、時枝が考えていると

「ルーシーお姉さま、楽しみましょうよ」

それを中断するように大喜が時枝の腕をとり、店内へと入っていく。

「予約していた白雪です」

白雪姫のつもりか? と横にいた時枝が吹き出しそうになった。

「白雪さま…女子会Cコースにてご予約を承っています。間違いございませんか?」

笑いを堪えている時枝と違って、店員は女装男子二人を相手に、通常の業務をこなしている。

「間違いありません」
「では、お部屋に案内させて頂きます。こちらへ」

店員が、個室まで案内してくれた。部屋ごとにコンセプトがあるのか、時枝と大喜が案内された部屋は外装を裏切る和室だった。 

「かぐや姫でも出てきそうな部屋ですね、お姉さま」

と言いながら、大喜がハンドバッグから直方体の器具を取りだした。

「は~、問題ないみたい」

念には念をと、盗聴器が仕掛けられていないかを調べた。
時枝狙いということではなく、こういう店や風俗店には、業者が仕掛けていることがあるのだ。
店員や店主が設置している場合もあるし、客が仕掛ける場合もある。

「普通に話しても問題ないよ、時枝さん。ここの個室は防音だし、隣から聞かれる恐れもない。料理とドリンクを運んでくれるときだけ、要注意ってことで」
「じゃあ、先に飲物を頼みましょう。私は生ビールで。ダイダイは?」
「俺は、生とウィスキーのロック。時枝さんも強めの酒を呑んでいた方がいいと思う…。素面じゃ訊けない話をするし」
「脅しますね、ダイダイ。そんな姿で現れたときから、とんでもない話だろうという推測していますから、大丈夫です」
「…その推測のレベル越えた話になるかもしれない…ごめんなさい」
「ダイダイが悪いという内容じゃないんでしょ?  どうせ、あのアホ絡みでしょう」
「そうなんだけど…」

時枝にビールは水みたいなものだ。
それを知っているだけに、大喜はもっと強めの酒を勧めたかった。

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