その男、激震!(159)

「俺は、」
「はい、ダメ! 私は、でしょ」

ママが大喜を睨む。
教え甲斐のない子だと視線と声のトーンが語っている。

「私は、ダイダイ…じゃなくて、ダイコ…ですぅ」
「ダイコ? 大根? 変わったお名前ね。ダイアナにしたらどうかしら?」
「分かりました。私は、ダイアナですぅ。ルーシーとは…年の離れた…お友達ですぅ」
「あなた、昨日のイケメン君でしょ? 友達なんて言ったら、きっとシーシーに叱られるわよ。あの子、上下関係に厳しいでしょ」

女装しても、俺ってばれるんなら、女装した意味ないじゃん! 黒瀬さん!

「何の話ですかぁ?」
「心配そうな顔しない。姿で分かったんじゃないから。声よ、声。だから、声は大事なの」
「気をつけますぅ」
「その姿で会いに来たということは、急用でしょ。呼んで来てあげる」

俺だって分かった時点で、呼んでくれよ! …いや、ママは、他でばれないようにと指導してくれたのか…いい人か。

「ダインコンやらダイアナやら、そんな友達がいた覚えはないんですが…」

やっとルーシーの登場だ。

「・・・あら嫌だ」

と、大喜を見て言った後で、ルーシーが店内を見渡す。
他に誰もいないと分かると、

「ダイダイ、何ですか、その格好は?」

ルーシーの声が時枝の地声に変わった。

「女子会の誘いに来ました」

一方、大喜は作り声だ。

「女子会? それでその格好?」
「…一目で俺って分かったんですかぁ~?」
「ゴホン、気持ち悪いので、普通に話して下さい」
「気持ち悪いってヒドォ~イ。ルーシーの意地悪ぅうう。だって、ママが声が大事だって…。声でバレる~~って」
「ママは第三者がいる場合を想定して言ってくれたのでしょう。今は私しかしないから、普通に話して下さい」
「…ルーシーだと、逆にその声は…違和感あるというか…ルーシーはルーシー声でお願いします」

大喜が地声に戻る。

「面倒臭い子ね。女子会ってメンバーは他に誰かいるのかしら?」

時枝がルーシー声に戻した。

「いいえ、ダイアナだけですぅ。二人っきりで、女子会ですぅ。もう居酒屋の個室も予約していますぅ。是非、ご一緒して。ルーシーお姉さまぁ~」

ルーシー声につられ、大喜が作り声で話すと、ルーシーの眉間がピクピクッと動いた。

「急用ってことですね。切羽詰まっているのでしょう。それにその話し方に長々と付き合うのは疲れるので、女子会とやらに参加しましょう。それでいいかしら、ダイコン」
「酷いわ、ダイアナですって、お姉さま」

ちょっと待っていなさいと、時枝が奥に戻る。
奥でママと話をつけ、出支度をしてから、戻って来た。

「行きましょうか、ダイコン」

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