その男、激震!(147)

「あら、勇一さん、光栄だわ、ってルーシーは喜ぶさ」

と言った勇一を大喜が冷ややかに見る。

「元に戻ってもいろいろ劣化してんだな。あんたがしっかり仕事しね~から、オッサンが香港に行かされたんだ…」
「お前も知ってるんだ」
「密航に使う船って、待遇いいと思う?」
「ちょっと待て。密航ってどういうことだ?」
「…まさかと思うけど、ソコ、知らないの? あんた、それでもオッサンの上司かよ…。木村さんもだけどさ…。あの二人、パスポートも持たずに船で香港に向かってるんだよ。仕事ができね~上司を持ったばかりに、オッサンが可哀想だ。あんたがさっさと白崎のアホを見つけていたら良かった話じゃん」
「お前と佐々木が、ヤってるところを見せつけるから白崎は消えたんだ。責任の一端はお前達にもある」
「そういうの、責任転嫁っていうんだ。あれはあんたの差し金だったんだろうが」

口の減らね~ガキだ。
素直にたまには「はい、そうです」って言えないものか?
と、大喜が知ったら激怒しそうなことを勇一は内心で呟いていた。

「それにしても、武史のやつ、密航とは聞いてないぞ。うちの若頭をなんだと思ってるんだ」
「ゴリラ。木村さんは蚤」
「あっさり言うな」
「あっさりもこってりもね~よ。ああああ、もう、時間の無駄無駄。仕事あるならさっさとまわせ。その前に足を閉じるか、机から降ろせ」
「俺の城で俺がどうしようと俺の勝手だ」

と言いつつも、これ以上の小言はごめんだと勇一が足を机から降ろす。
それからメモ紙に筆ペンで走り書きをし、
大喜に渡した。

「ここに行って来い。昨夜、俺たちをつけていた軽の所有者だ。理由を探ってこい。それが仕事だ。金で動く相手なら話は早い」

ちょっと待ってろと、勇一が組の金庫から札束を取り出す。

「これ、持って行け。余った分がバイト代だ。だから、上手くやれ」

受け取った大喜が、厚みを確認する。

「百万も…いいのか? 税務署に申告できね~使途にならね~か?」
「ガキが細かいこと気にするな。百万あっても手元に残るのは一万かもしれね~だろ」
「俺を甘く見すぎ。丸々懐に入る確率の方が高いぜ。百万の仕事か…悪くない」

札束を大喜が直接バッグにしまう。

「わかっていると思うが、危ない橋は渡るなよ。ガキになんかあったら、佐々木に会わす顔がない…既にない顔だけどな」
「全くだ。オッサンの懐の広さに感謝するんだぞ」
「……ちっ、お前が言うな」
「アホか。俺しかいうやついね~だろ。俺にも感謝しろよ。そして、俺はお前に感謝してるから…オッサンだってきっとそうだ…だから胸張って頑張れ! ヘボ組長」

大喜らしいというか、ある意味素直をいうか、憎まれ口を叩きながらもそれ以外の本心を隠さず伝える。
言うだけ言って、大喜は事務所から出て行った。

「…なんだありゃ…」

大喜のそういうところが佐々木には可愛いのだろうと勇一が苦笑いを浮かべた。

ルーシーです。勇一さん、私、喜びませんから。いつも応援クリックありがとうございます。「今日も? うわ!」(←twitter ねた)ありがとうございます♪
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