「くそ、無駄足だったか…」
「電話一本で確認できたんじゃね~の! これでオッサンの居所が掴めなかったら、俺の愛車の犠牲はなんだったんだ!」
ようやく捕まえタクシーで、勇一と大喜は勇一がルーシーを連れ込んだホテルに向かった。
が、既にチェックアウトしていた。
時間帯を考えても当然の結果だ。
「大声出すなボケ。他の客の迷惑だ。ほら、スタッフの可愛いね~ちゃんが、こっち睨んでるぞ」
「…下品な言い方止めろ。綺麗なお姉様、といえ」
大喜がホテルスタッフに「お騒がせしました」と頭を下げる。
「出て行った時間帯が分かっただけでも無駄じゃない。ここにいないなら、あそこだ。問題ない。お前の車は成仏しているから安心しろ」
「縁起でもね~こと言うな」
ホテルからまたタクシー移動だ。
「リリーっていうバー知ってるか? 近くてわりぃが、そこに行ってくれ」
「呑みに行くなら、一人で行けよ。オッサンはどうなるんだ」
大喜が勇一に食って掛かる。
「…お客さん、出発しても…」
運転手が、発車していいものかと伺いをたてる。
「ああ、行ってくれ。ワルィな、うるさくして」
ボカッと勇一が大喜の頭を殴る。
「静かにしろ。佐々木がいるかもしれねぇ場所だ。黙ってろ。そこの女と今日ヤツはホテルで会ってたんだ」
「ホテルでオッサンが女と会う? ありえね~だろッ! あんた、とき…」
時枝のオヤジが、と言おうとして口を噤んだ。
偶然乗り合わせたタクシーの運転手がどこかに通じているとは思えないが、用心に越したことはない。
「木村も一緒だ」
「3Pやってたとか、言うつもりか!」
大喜の頭の中では4Pだった。
女と時枝と木村と佐々木…有り得ない。
「それがわかん~ね~から、俺も慌てているんだろうが。佐々木一人の為に俺が探しに出ると思ってんのか? あいつら、ルーシーに何かしでかしてたら、ただじゃおかね~」
「…悪い冗談は止めろ。あんた、本宅でもルーシーって言ってたよな。誰だ、それ。あんたの愛人か? だから…」
愛人の存在を知った時枝のオヤジが福岡から乗り込んで…修羅場を止めようとオッサンと木村さんがホテルに出向く。
それならあり得る。うん、そうだ。そうに決まっている。
大喜の中でストーリーが完成した。
「だから、なんだ」
突然口を閉ざした大喜に、勇一が続きを促した。
「何でもない」
タクシーが目的地に到着するまで、その後二人は無言だった。
時枝です。しばらく管理人代行します。黒い糸の応援団長は辞めません!…という私の話はおいておいて…
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勇一へのお仕置き…思案中。
トラコミュ オリジナルBL小説・・・ストーリー系 |