その男、激震!(128)

「一分」

黒瀬が人差し指を立てる。
一分以内で話せということだ。

「わかりました。簡潔にお話させて頂きます。行方不明の白崎探しに、時枝さんも加わることになりまして、アッシとこの木村がチーム時枝に配属されました」
「チーム時枝? 昭和感漂うネーミングだね」
「時枝さんは、あの、そのですね…ボ、いえー。武史さまのご母堂さまが関与している場合を想定して調べるとのことでして…それで、それで是非、ボ、武史さまのお力をお借りしたいと、本日、」
「ストップ。一分経過」
「…あと少しなので…続きを…」
「必要ない。悪いけど、脳の造りがゴリラとは違うから。帰りは見送らないよ。不本意にでも出迎えてしまったし」

勝手に帰れということらしい。
黒瀬が席をたち、佐々木と木村を残して、部屋を出て行った。

「――あの、俺達帰れってことですよね」

黒瀬の姿が消えた途端、木村が口を開いた。

「ああ」
「…この姿じゃ、帰れません」
「潤さまが、服の代わりを用意してくださっていると、ボンが仰有っていたじゃないか」
「いや、用意しているはず、と仰有っていただけで、用意してあるとは一言も……財布と携帯も…取り上げられたままです…どうしましょう」
「どうする、って言われても…」
「酷い! 若頭、覚えてないんですか! 俺に任せとけ、と仰有ったじゃないですかっ!」
「俺を責めるのか? …だいたい、お前が…」
「なんですか? ハッキリおしゃって下さい」

木村が佐々木に詰め寄った。

「……いや、…そのなんだ。クソ、今ならまだ間に合うかもしれん!」

佐々木が立ち上がる。

「お前も来い! 死ぬときは一緒だ」

木村の腕を掴む。

「はあ? 嫌です! 若頭と心中するつもりはありません!」
「大丈夫だ。運が良ければ生きて帰れる」
「ええ――ッ!」

強い覚悟をもって、佐々木が木村を連れ部屋を出る。
既に黒瀬の影はない。
木村の腕を掴んだまま、

「ボン! どこですか――ッ ボン、ボン!」

佐々木が黒瀬を探し始めた。
佐々木と木村が下着姿で、黒瀬宅を彷徨いてた頃、桐生本宅では、大喜が勇一の部屋を訪ねていた。

 

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