その男、激震!(121)

「ふ~~~ん、最近のゴリラって人間より立場が上になったんだ。その蚤も」

ソファに座る黒瀬。
その足元には頭を垂れた佐々木と木村。
何故か二人は下着一枚だ。
軽蔑を丸出しにした鋭く冷ややかな視線を黒瀬が下着姿の二人に放っていた。

「遅れますの連絡一本寄越す価値が、この人間にはないと、獣風情(けだものふぜい)が判断したんだ」

この人間とは黒瀬自身のことで、獣風情とはもちろん佐々木のことである。

「しかも、獣のくせに、ラブアフェアとはいい度胸してるよね。潤、どう思う?」
「前々から怪しい行動、言動が、木村さんには多かった。でも、まさか…」

と、黒瀬の横に座る潤の目も冷たい。

「佐々木さんが、受け入れるとは思わなかったです。最低です。最悪です。男として、人間として、」
「潤、違うよ。ゴリラとして、が正解」
「ありがとう、黒瀬。そうだった」
「ゴホン。男として、ゴリラとして、恥ずかしくないんですか? ダイダイがいるのに……身近に手を出すとは…しかも既婚者に…そういうことから一番遠くにいるのが佐々木さんかと思ってました」
「誤解ですっ! 違います!」

否定したのは、木村だった。
佐々木はというと、奥歯をグッと食い縛り押し黙っている。

「あんな姿を見せつけられて、誤解もないでしょ。黒瀬と俺の前で堂々と…恥知らず!」
「忍ぶ愛の時期が終わり次へ進もうという意思表示じゃない? 隠れてコソコソするのは嫌だと、そこの蚤がゴリラに言ったんじゃないの」

潤の怒りは本物だったが、黒瀬は違う。
待たされた腹いせに、からかっているだけだ。
そもそも、そういう材料満載で乗り込んで来た方が悪い。
やっと現れたと思えば、どうぞ存分に弄り倒して下さいという登場の仕方だったのだ。
その姿はもちろん、セキリュティカメラにより録画されている。
この場だけで済ます気は、黒瀬には毛頭なかった。

さて、その問題の登場シーンなのだが…。

 

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