その男、激震!(107)

「…この、バカッ…あ、ン」
「色っぽい声、いただき~~~」

時枝の鼻音が勇一の興奮に拍車を掛かる。
ア、と時枝が思った時には遅かった。

「――ッ!」

熟れた柿のようになっている孔にズボッと塊が無遠慮に突き刺さる。
衝撃で時枝の上半身がエビ反りになった。

「ワリィ、勝貴。入っちゃった」

反り返った時枝の背中を、乳首から離れた勇一の手がヨシヨシと押し戻す。

「――ゼ、ゼ、ゼ、」
「是? イイってことか? 勝貴は頭イイから、凡人とは喘ぎ方も違うな」
「ゼ、ゼッコ――ッ!」
「ゼッコ? ゼツコ? セツ子か?」

言いながらも、勇一は動きを止めない。
既に散々擦られた内部は、孔の外側より酷い状態で挿入してなくても痛みと熱感があった。
勇一だって内部の尋常じゃない様子は感じてるはずだ。
どうして、抜かないんだ、と時枝に怒りが沸く。

「ヒッ、動くな、バカッ、――ワザと言ってるだろ…セツ子じゃない! 絶交だぁあああ!」

と叫んだことで時枝は力んでしまい、可哀想な内部で勇一の雄を締めつけてしまった。

「なんだ、勝貴、本当は欲しかったんだ。素直じゃない子でも、お父さんは大好きだから安心しろ」
「…だ、れがっ、勝手に…父親、名乗ってるんだっ、…お前は息子を嬲るのかっ」
「違うぜ、勝貴。『息子で』嬲るが正解」
「…バカっ、本当に…止めろっ、抜け…俺が大事じゃ…ないのかっ!」
「愚問だろ。大事だからココにいる」
「…動くなっ、…俺を愛してるなら…抜けっ! ――頼むっ ……もう、許して…」

限界だった。
気が遠くなりそうなぐらい痛い。
快感も生まれていたが、それよりも痛みの方が勝っていた。

「昨夜もそうだけど、お前のその『許して』っていう涙声に、俺、変なスイッチが入るらしい。もっと泣かせたくなる。悪いィ…あとさ、」

勇一が言い掛けた言葉を時枝が聞き取ることはできなかった。
激痛に歯を食いしばっていると音も聞こえなくなった。
早く、終われ、と祈るだけ。
湧き上がっていた怒りは既に蒸発の域だ。
これじゃ、レイプだと憤怒しながらも、そのレイプ犯が勇一であることに時枝は幸福も感じていた。

「――ぁあ、はあ、はっ、…朝の一発は格別だ」

時枝の中で果てた勇一はドサッと時枝の上に覆い被さった。
まだ時枝の中に身体の一部は残したままだ。

「あれ? 勝貴? オイ、勝貴??? やべ~~、犯り殺したのか?」

自分の下で動かず無言の時枝の首に勇一が指をあてた。

「脈はある。生きてる」
『……勝手に……殺すな……』

辛うじて意識はあった。
だが、終わったことにホッとした途端、時枝は脱力していまい、声を出す気力も残っていなかった。