その男、激震!(102)

「…いいっ、…あっ、…そこっ、…いいっ」

腹部に水滴を感じた勇一が視線を下に落とした。

「すげ~~こと、なってるぞ。汁が飛び散ってる」

ほったらかしにされている時枝の雄は、勇一の動きがもたらす振動で揺れていた。
首を左右に振りながら露をまき散らす様が、勇一の興奮に更に拍車をかける。

「――鼻の奥がいて~ 鼻血が出そうだ」
「…っ、バ、カッ…もう、…出てる…」

勇一が視線を上げると、自分の下で喘いでいる時枝の顔に赤い点々が散っていた。

「…終わ…り…だっ、…一旦、中止っ」
「やだね。まだ、イってないし、後悔させてない」

勇一が腕で鼻の下を横に擦る。

「…後悔…してるっ……鼻血が…顔に…降ってきて…ッ、動くなっ、って…」
「血ぐらい、平気だろ。俺様のナニも血だらけだ。なにせ、勝貴が裂れ痔だからな」
「…覚えてろっ、……くそっ、俺が、…イかせて…、やるッ」
「ゲッ、バカ…そんなっ、クソッ、悦すぎる! 絞めすぎだッ――っ、今度は―…イイ」

食い切るつもりなのか、という強い締め付けを味わった直後緩められ、またギュッと強い締めつけを喰らう。
攻撃していたはずの時枝から勇一が逆に責められる。

「…ハア…イケッ、勇一ッ、…ぁあ、…くっ、イイッ、…ァア、イクッ、クソっ、お前が先、だっ!」

勇一をイかせようと括約筋を総動員させた結果、更に快感を得てしまい、時枝の沸点も近づいてきた。

「…ハッ、…ハッ、…コノヤロ~、どこでそんなワザ仕入れてきたんだっ、…浮気者は俺じゃなくて、お前だろっ、勝貴ッ! 誰に仕込まれたんだッ」

覚えのある限り、ここまでのワザはなかったと時枝に高められながら、勇一に嫉妬心と怒りが込み上げてきた。
性的興奮とは別の興奮が加わり、勇一から垂れる鼻血の量が増え、喘ぐ時枝の口の中にも垂れた。

「く、ぁ、血――……クッ!」

鉄分の味を舌が感じた瞬間、時枝が爆ぜた。

「…ハッ、誰だァア…ウッ…はあ、はあ」

時枝がイく直前締まった内壁に搾り取られるようにして、勇一が爆ぜる。

「…白状しろ…誰だ、勝貴…」

勇一は時枝に挿ったまま、追及を続けた。

「バカ! それどころじゃない」

時枝の頭にあるのは、勇一の鼻血を止めることだけだった。
快感の余韻に浸りたい欲求を蹴飛ばし、ついでに勇一を突き飛ばし、自分の身体から勇一を外すと、ベッドサイドにあったティッシュを乱暴に数枚抜いた。

「いうこと聞かないと、掘るぞ!」

自分だって下半身は切れているというのに、今はそのことが時枝の頭になかった。
下半身の出血も自分の顔に付着した血もそのままで、自分の精液が散っている勇一の腹に跨がった。

「お前、鼻血がよく出るのか? 昔は出てなかっただろ? どうなんだ、答えろ」

勇一の鼻の穴に丸めたティッシュを詰めながら、心配丸出しで時枝が訊く。

「お前が興奮させるからだ。なんて顔してるんだ。鼻血ぐらいで大騒ぎするな」
「ぐらいって、なんだ? お前の身体を心配するのは当然だろ。……俺の前から消えるなんてこと……二度と許さないっ」
「ひぃ!」

馬乗りのなった時枝が勇一の左乳首を捻り上げた。