「俺がオッサン以外の男になびくか! 心も身体もオッサン一筋だっ!」
と大喜が叫ぶ。
だが叫んだところで別のモードに片足つっこんでいる佐々木に伝わるかどうか怪しいと、大喜は実力行使に出た。
「わっ、」
スーッと涙を流して突っ立っていた佐々木にジャンプ!
押し倒す勢いで…あくまでも勢いで…大喜は佐々木にぶら下がるように飛びついた。
その足は佐々木の腰に絡んでいる。
ゴリラに小猿が足を絡めて抱きついてる。
もっと可愛く表現するなら、ユーカリの木にに抱きつくコアラなのだが…残念ながら同じ構図でも違った印象しか生まれない。
そして、言うまでもないが大喜は裸だ。
「――…ダイダイ?」
一体何が起こったのかと、自分の身体に貼り付いた大喜に佐々木の目が泳ぐ。
「待ちくたびれた。外野は放っておいて、続きしようぜ。な、オッサン、してくれよぉ」
上目使いに大喜が佐々木を誘う。
別モードから引き摺り出すのが目的だったはずだが、佐々木の体臭を嗅いだだけで、大喜の中で『欲しい』と熱が燻り始めた。
結果、言葉だけでなく、目が潤み貼り付いた身体の一部が硬度と形を変えていた。
「ダイダイ…お前…」
自分に欲情している大喜を感じ、佐々木の中から疑惑が薄れれていく。
それに伴い、表情も変わる。
涙は止まり、その目には大喜への欲望が見える。
「あんなヤツと浮気なんかするかよ。オッサンからのキスマークをダニだって言うようなヤツだ。だから、俺…腹が立って…殴り掛かったんだ…信じてくれるか?」
今なら佐々木の耳にも自分の言葉は届くだろうと、大喜が濡れた目で誘いながら訴える。
「ダニだとぉおっ! 白崎、本当にそう言ったのかっ」
が…肝心の白崎は、突然現れた佐々木と大喜のヤリトリで頭の中が
『嘘、ホモ? 嘘、ホモ???』
と混乱していて、佐々木の問い掛けに答えられる状態ではなかった。