その男、激震!(64)

 

見てはいけないモノを目にしてしまった集団は、烈火のごとく怒った佐々木から当然の仕打ちを受け、本宅の門をくぐった時とは全く違う顔になって引き上げていった。
が、その邪魔を理由に二人の行為が終了することはなかった。
むしろ、見られたことで開き直ったかのように、本能のままに腰を振るゴリラさながら(ゴリラに失礼か?)、大喜に覆い被さったまま昼が過ぎてしまった。
その結果、若い大喜から、

「――オッサン…少し、休憩…」

と小休止の提案が出たのだった。
佐々木が何か作ってきてやると寝室を出てから、10分。
大喜は、全裸のまま勇一のベッドでウトウトしかけていた。

『若頭、今よろしいでしょうか?』

寝室の外からの声に、大喜は夢半分で気付かなかった。

『声がしない。おかしいな…まだ、最中のはずだけど…終わったのか?』
『何もないなら、帰りましょうよ』
『俺だって、さっさと戻りてぇんだよ。お前が組長怒らせるからこんなことになってんだ。現実をお前が知るまで無理なんだよ』

一人ではない。
会話になっている。

『仕方ね~。とりあえず、状況確認だ。失礼します!』

熟睡しかけた所で人の気配を感じ、オッサンが戻って来た、と大喜は眠気で重い瞼を開いた。

「…オッサン、…早かった、―――なっ、」

せめてタオルケット一枚でも掛けていればよかったが、全裸の身体一つで横たわっていた大喜の前に、佐々木ではない人間が二人立っていた。
ことの最中に入ってきた邪魔とは違い思考が働く状況で、二人の人間が自分の裸体を凝視している。

「ちょ、…な、なんだよっ、」

大喜が慌てて身体を覆う物を探す。
が、ベッドの上にはなかった。
布団類も衣類も、激しい交わりの途中に、全て床にずり落ちていた。