「…組長、それは、一体…」
「すっ惚けようとするなよ。セックスしてね~だんだろ、お前ら。欲求不満でそんなこっぱずかしいコトになってるんだろうが」
勇一が、佐々木の濡れた股間部分にまた懐中電灯を当てた。
「だから、俺が責任持って、佐々木のナニをガキの中に挿れてやる。その為に俺はここに来た」
「はあああ? あんた、頭、大丈夫か?」
と、大喜が。
「ナニって…それはその、ナニですか…」
と、佐々木が。
ある意味二人らしい反応だった。
「照れなくてもいい。素直に喜べ、ガキ。お前、佐々木とヤりたくてウズウズしてるんだろ。いや、違った。ヤられたくて身体が疼いているんだろ」
「…あ、…あ…、あんたぁ、…いい加減にしろよっ」
暗くてよく分からないが、大喜の顔は真っ赤だった。
「照れなくていい。元は俺のせいだからな。時枝の墓の前で『一生セックスレスかも』って、泣きごというぐらい、ヤりて~んだろ」
「適当なこと言うなっ!」
事実だが、佐々木にばらされ大喜が逆上した。
「…ダイダイ、本当か。本当なのか。時枝さんに相談するぐらい、悩んでいたのか?」
「…悩んではない…けど…。愚痴ったかも。オッサンがあのコト気にしているの分かってるし、オッサンには言えないし…でも、俺」
「セックスしたい、だとさ」
大喜の言葉の先を勇一が取った。
「割り込むなっ!」
「るせ~、俺が現れなかったら、この石頭には、お前の本音は一生伝わらなかったんだ。ありがたく思え」
「…どうせ、時枝さんの指示のくせに、威張るな」
大喜がふて腐れ気味に呟いた。
「威張るさ。今夜の俺は、キューピットさまだからな」
そこで、勇一の顔からふざけた表情が消えた。
「佐々木よ、お前の考えていることもわからね~わけじゃないが、度を超えた気遣いは、愛を腐らせるぜ。大事過ぎて、あんな目に遭ったガキを抱けないんだろうが、ガキにしてみたら、他人と寝た自分を本当は愛せないんじゃないか、同情で一緒にいるだけじゃないのか…って、不安で仕方ないんじゃないのか。勝貴が拉致られなぶり者にされて戻ってきた時、俺も愛情の方向を間違った。あのときの勝貴の苦悩を少しは知ってるだろう?」