その男、激震!(31)

「あなた以外の男と、寝ていたという意味です。きっと違う快感を味わってたんじゃないですか。あなたが戻ってくるまで」
「でたらめ言うなっ!」

黒瀬と違い、勇一の怒りはわかりやすい。

「勝手に寝室に押しかけてきて、今度は大声ですか? 可哀想に潤が怯えてるじゃないですか」

潤は震えていたが、それは怯えからではなく身体を貫く快感からだ。

「私がどうして兄さん相手に嘘言わなきゃならないんです。馬鹿らしい。私達の邪魔する暇があったら時枝に確認してみたらいかがです?」
「そんなことできるか!」
「怖くてきけないんでしょ」
「ウルサイ!」
「怒鳴って済ませようとは、度量の狭い男ですね。だいたい、兄さん、何しに来たんです?時枝に追い返された腹いせですか?」
「…追い返されてはいない…」

さっきまでの勢いはどこへやら。
勇一が項垂れた。

「変なミエは結構です。時枝に戻れと言われたんでしょう。そして、ココに来た。用件は何ですか? 兄さん、明日にはあの世の住人ですから言うなら今のうちですよ」
「戻れとは言われてない。さっさと償いをしてこいと、…見送られた」

時枝に会いに福岡の田舎まで行った。
涙、涙の熱い抱擁もあった。
だが、結局それだけだった。
一晩ぐらい泊めてくれても良さそうなものだが、愛してるならカタ付けてこい! と結局数時間の滞在しか時枝は許さなかった。

「償い? 私と潤への償いでしたら、結構です。さっさとお引き取りを」
「…ち、がう、」

潤が割り込んだ。
勇一と会話しながらも、黒瀬は潤を攻めることを忘れてはいなかった。
二人の会話を耳に収めながら潤は喘いでいた。

「…きっと、ぁ、…ダイダイと佐々木さん、イィ、く、ろせぇ…」