その男、激震!(208)

「面倒くさいから、却下。行くよ」

行くよ?
今からナニかが始まるはずでは? と時枝と潤が顔を見合わせた。
「かなり効く」と黒瀬は言ったが、異物を挿入だけで時枝の成熟した身体に「かなり効く」わけがない。
ハア…時枝が心の中で深く溜息をつく。
国語の文法をやり直すのは俺じゃないだろ、と続けてぼやく。
これももちろん、心の中で。
まだ勇一の方が、言葉が通じるだけマシか…あれはああ見えて凡人で意外と常識がある、と勇一贔屓(びいき)のボヤキが、

「時枝、いい度胸してるよね。この私があの愚兄(愚兄)の下?」
「…あの…社長? 何を???」

今度は声になって出ていたことに、時枝は気付いていない。

「時枝さんのこと、大好きで尊敬していますが…ここだけは否定させて下さい。どこかの組長が黒瀬よりマシということはありません! 黒瀬は時枝さんを泣かせたりしません」

いや、泣かせていたことはある…という事実はこの際無視するとして、時枝はここで自分のボヤキが漏れていたことに気付いた。

「失礼しました。取り消します」

本心ではやはり勇一の方が数倍マシだと思いながらも、時枝は大人の対応をみせる。

「ふふ、潤は真実を見抜く目を持っているよね。さすが私の潤だ。嬉しいから潤に免じて許してあげる。潤、夕飯にしよう。時枝も適当に何か着てから上に」
「あのぅ、私の中にあるアレは?」
「出したら殺すよ。潤、ユウイチはそのまま一緒に」

潤の腕に抱かれたユウイチは時枝に戻りたがって藻掻(もが)いてる。

「黒瀬、ユウイチが時枝さんに行きたいって言ってる」
「ダメ。戻すとまた変態行為に及ぶから。ユウイチにも食事は必要じゃない? それとも時枝の精液をユウイチの食事にしたいの?」
「…黒瀬、俺が悪かった。ユウイチ、一緒に行こうね。時枝さんも早く上がって来て下さい」

二人と一匹は時枝を残し、黒瀬と潤の住む上のフロアへと消えた。

 

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