その男、激震!(198)

★文庫の帯企画、第4弾応募受付始まりました! 今回はズバリ「勇一×時枝」です!
〆キリは8月31日です★

 

 

「―――勇一に任せた俺が悪いのか? どうする、俺。この危機をどう抜ける? 考えろッ!」

時枝が自分の頬を両手で叩く。
その時、誰かが女子トイレに入ってきた。 
用を足したい女性か、清掃員か…と、時枝が息を潜める。
ガタガタという音がトイレの入口付近から聞こえたかと思うと、シャーとバケツに水が溜まる音が。

――掃除?

と、思った時枝が思った瞬間、

「グぇッ!」

時枝を大量の水が襲う。
本当に驚いた時は、キャ―でもワーでもなく異常に低い音域の声が出るらしい。

「女子トイレに変態男が潜んでるって通報してもいい?」

何故だ。
どうして、一番厄介な男がココにいるんだ。
姿を見るまでもなく声とこの暴挙で誰だかよ~~~く分かる。

――勇一の野郎! 潤と武史の区別もつかないのか。
潤に頼むんじゃなかったのか?

「――いいわけ、ないでしょッ こんなところで、何してるんですかっ! っていうか、どうしてくれるんですかっ! 全身ビショ濡れですッ」

ヘアウィッグは前方にずれ顔に張り付き、下着まで濡れて気持ち悪い。

「グチュグチュ?」
「ええ、その通りですっ!」
「ふふ、いやらしい。身体濡らして、期待されても相手はできないよ。潤を裏切る気はないから。どうしても、っていうなら、箒の柄でも突っ込んであげるけど」
「そんなところは濡れていませんっ!」
「全身って言ってたのは時枝じゃない。それから一応ここには誰も入れないように細工してあるけど、大声出すと外に響くよ。病院の女子トイレから男の喘ぎ声が漏れるのってヤバイと思うけど」

あぁ…勇一…お前の人選ミスを俺は呪うぞ…。

「箒の柄は必要ありませんし、喘ぎません」

時枝が淡々と言った。

 

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