その男、激震!(195)

★コミコミスタジオさまにて通販中。黒桐Co.企画応募用台紙付のタイトルは「その男、激震4」です★ そろそろ文庫帯の準備を~~~4弾~~~

 

「秘書さん、何かトラブルかな?」

株式会社クロセの社長室。スマートフォンの画面を見つめて肩を震わす青年の後ろ姿に、その部屋の主である社長が声をかける。

「…ハイ。社長の血縁者が…少々…」

秘書は自分の中に湧き起こる負の感情を押し殺し、答えた。

「愚兄が何をしたのかな?」

秘書はスマートフォンの画面から視線を上げ、社長の方を向く。

「『何』かは、わかりません。しかし、確実に、しでかしたことは確かです」
「まあ、兄さんが、何をしても驚きはしないけど。ふふ、可愛い秘書さん、ちょっとそれを貸してごらん」
「私宛に届いたメールですから、私が対処します」
「潤が秘書として有能なのはわかってる。でもそれって、会社の仕事に関係あること?」
「それは…関係ありませ…。いいえ、関係あります。社長周囲のトラブル回避も秘書である私の仕事ですし、尊敬する時枝前室長は社長のプライベートでも有能な秘書でした」
「潤、貸して」

社長が秘書の言い分に理解を示すことはなかった。

「私が対処します」
「潤、貸してごらん」
「嫌です」
「貸しなさい、社長命令」
「…しかし、」
「ふふ、じゃあ、秘書の市ノ瀬潤じゃなくて、私の可愛いハニーの黒瀬潤に頼もうかな。潤、貸さないとお仕置きするよ。仕事ができなくなるくらい、たっぷりと時間を掛けて」
「…今から? ……ですか」
「そう、今から」

負けた、と秘書は思った。今、お仕置きされている時間はない。
今すぐ、社を出ないとならない用件なのだ。

「…どうぞ、ご確認下さい」

諦めた秘書がスマートフォンを社長に渡す。

「なるほどね。兄さん、ナニをやっているのやら」

メールの文面を確認した社長が椅子から立ち上がる。

「楽しそうだから、私が出向こう。ふふ、潤、あとをよろしく」
「社長には大事な仕事があります。あと10分で福岡支社とオンラインミーティングです!」
「優秀な秘書はこういうときに対応してこそ、じゃない?」

と言いながら、社長は秘書にスマートフォンを戻す。

「潤、行って来るね」
「社長!!!!」

社長室を出て行こうとする社長の前に、秘書が両手を広げて立ちはだかる。

「潤、急を要するみたいだから、邪魔しないで欲しいな」
「だから、私が! アア…んもう、黒瀬ッ! 俺が行くって言ってるだろ!」

秘書の仮面を投げ捨てた潤が、社長であり、プライベートでは夫でもある黒瀬の腕を掴む。

「ふふ、一緒に行けたらいいんだけど、会議あるから、潤、よろしくね」

黒瀬が自分を掴む潤の脇腹を擽った。
敏感な場所を擽られた潤が身体を捩る。同時に潤の手が黒瀬から離れた。
その隙に

「Good luck!」

と言い残し、黒瀬は社長室から消えてしまった。

 

相変わらず佐々木のオッサン一筋のダイダイです。アホ組長、ナニをやらかした? ランクに参加中です。下のランクバナー(1)(2)で応援〔ポチ〕頂ければ幸いです。オーエン頼みます! 
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