その男、激震!(194)

★コミコミスタジオさまにて通販中。黒桐Co.企画応募用台紙付のタイトルは「その男、激震4」です★ そろそろ文庫帯の準備を~~~4弾~~~

 

サランと時枝、同じ男を愛した二人の心が交わる。
嫉妬じゃなく重なりあう勇一への愛とお互いへの感謝だった。

「明日は、息子と対面する予定だ。パパって名乗ってもいいんだよな?」

通訳をしていた勇一が二人に割り込んむように、韓国語でサランに話し掛ける。

「…はあ、全くお前は…、空気読め」

自分に見せていた優しい顔から一転、溜息交じりで呆れた表情の時枝に、サランがクスリと笑う。

「パパが二人。ジュニア、きっと喜ぶ」

そして勇一と時枝の顔を交互に見ながら、日本語で言った。

「――私までパパと…」

時枝の目がまた緩む。

「その格好じゃ、ママだろ、――ィッテーっ」

ルーシー姿の時枝が、ハイヒールの踵(かかと)で勇一の右足を踏む。

「立派なママがいるのに、軽々しくそういうことを言うなッ! このどアホがっ!」

勇一の甲から離れた時枝のハイヒールが、今度は臑を蹴る。

「――ッ…。暴力女ッ!」
「それを言うなら、暴力男だ!」

そして、踵は勇一の左足の甲に着地した。

「――っ、もう許して勝貴~~~」

踞(うずく)った勇一が時枝に許しを乞う。

「… … …」

二人の遠慮のないやり取りに、サランは驚きつつも感動していた。
この二人に見守られ育つ子どもはきっと幸せに違いない。
その場に自分がいないことだけが残念だけど、これが運命なんだ悟っていた。
自分の病がなければ、父親を知らないまま育っていたかもしれない。
しかも、一人じゃない。
二人のパパがいる。一人はママなのかな? と思うとそれはそれで面白い。
周囲の人間も味方だと言ってくれた。
何も心配は要らない。心残りはない。

「パパ二人、パパとママ、どちらでも、私、うれしい…うれしい…ありがとう。ジュニアも、うれしい…ありがとう」
「バカだな。礼を言うのはこっちだ。ほら、もう、寝ろ。明日は三人で来るから」

勇一が時枝と場所を変わる。
そしてサランの上半身を抱えるようにして、元の位置に戻す。
枕の位置を整えてやってから、サランに自分の唇を重ねた。
サランは時枝が少し気になったけど、彼ならきっと優しく見守ってくれていると勇一の口付けに身を任せた。

「ルーシー、今のうちに化粧を直しとけよ。結構、酷い状態だぞ」

途中、顔をあげた勇一が放った言葉に時枝が慌てて鏡を探す。
サランとのラブシーンを時枝に見せまいという心遣いが勇一にあったかどうかは定かではないが、実際、時枝の顔は涙でアイラインやマスカラが剥がれ、黒い筋が頬に通る酷いものった。

 

相変わらず佐々木のオッサン一筋のダイダイです。アホ組長の足は甲も臑も腫れてるに違いない~。 ランクに参加中です。下のランクバナー(1)(2)で応援〔ポチ〕頂ければ幸いです。オーエン頼みます! 
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