その男、激震!(193)

★コミコミスタジオさまにて通販中。黒桐Co.企画応募用台紙付のタイトルは「その男、激震4」です★

 

勇一が時枝の言葉を韓国語でサランに伝え終わると、彼女が時枝に、

「はじめまして。わたし、サラン、です」

と日本語で自己紹介をした。

「イル…は『勇一』が本当の名前ですか?」

たどたどしい日本語で、サランが時枝に訊いた。

「どうぞ、イルと呼んでやって下さい」

時枝の返事にサランは勇一を見た。
「俺はサランのイルだ」と、勇一が頷く。

「近くに行ってもいいですか?」

時枝がサランに訊く。

「はい」

勇一は自分が立っていた場所を時枝に譲った。

「勇一が…イルが今、生きて存在しているのは、全て、あなたのおかげです。本当にありがとうございました。あなたの前から突然消えたことを、心からお詫び申し上げます。そして、この男を探し出してくれたこと、本当に、本当に心から感謝します。あなたとこの男の愛の結晶については、何の心配も要りません。私の命と引き換えにしてもこの先、守り抜きます。私だけじゃなく、この男に近い人間は、みんなあなたとお子さんの味方です。安心して治療に専念して下さい。勇一、通訳!」

勇一が通訳している間、時枝は「適当に訳すよな」と睨みを利かせていた。
時枝の言ったことを理解したサランの目が潤む。
サランには伝わっていた。
時枝の言葉に時枝の勇一への深い愛情があることを。
その愛情が自分や息子にまで注がれていることを。
サランが時枝の右手を両手で握った。
直に時枝に触れ、それは確信に変わった

「ありがとう……ありがとう…うれしい、ありがとう…ごめんなさい…ごめんなさい…」。

時枝の左手が重なり、二人の両手は固く握られた。
その上に二人から暖かい水分がポタポタと降る。

「日本語、間違ってますよ。ごめんなさい、は間違いです。謝るようなことを何一つしてないじゃないですか…あなたには感謝してもし尽くせない…」

言われなくても勇一が時枝の言葉をサランに伝える。

 

相変わらず佐々木のオッサン一筋のダイダイです。時枝のオヤジは(あ、叱られる!)時枝さんは、「漢」だよな… ランクに参加中です。下のランクバナー(1)(2)で応援〔ポチ〕頂ければ幸いです。オーエン頼みます! 
(1)にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ& (2)
Thanks a lot!

トラコミュ
オリジナルBL小説・・・ストーリー系