その男、激震!(189)

★コミコミスタジオさまにて通販中。黒桐Co.企画応募用台紙付のタイトルは「その男、激震4」です★

 

「逃げるのかよ!」

潤が走って勇一の後を追う。
その潤を園田が追う。
潤と園田が勇一に追い付くことはなかった。
追い付くどころか、二人が病院の建物から出たときには勇一の姿は見事に消えていた。

「――…はあ、はあ、組長さん、いらっしゃいませんね」

怒りで身体を震わせ立ち止まっている潤に、息を切らした園田が声を掛けた。

「我々も戻りましょうか。会社まで送ります」

潤は深い深呼吸と共に一旦怒りを腹に収めた。

「――はい。お願いします。見苦しい姿をお目にかけました」
「いえいえ。気になさらないで下さい。私も別の方の存在には少し驚いてますし」

ルーシーの存在よりも潤の豹変ぶりに園田は驚いたのだが、そこは大人としての対応を見せる。

「でも私は組長さんは男として立派だと思いますよ」
「どうしてです?」

怪訝な顔で潤が園田に向けた。

「子どもを引き取ることに迷いがない。それに、そのルーシーさんを連れてくるということは、母親代わりになってくれる人間を紹介するっていうことでしょう。先のことは心配要らないと安心させてやる意味があるんだと思います。人となりを彼女にしっかり確認してもらいたいんだと思います」
「…しかし、それだと…」

反論しかけた潤だったが、口を噤む。時枝の心情は実際のところ、本人しか分からない。

「外の人間だから言えることかもしれませんが、」

園田が前置きをしてから、

「心配は杞憂に終わりますよ」

と、潤の肩に手を置いた。

「そう願います」

園田の潤への労りが、肩の上の手から潤に伝わる。
ありがとうございます、の意味で潤が自分の手を園田の手に重ねた。

「潤さん、浮気?」

背後からの声に潤が慌てて振り返る。

 

相変わらず佐々木のオッサン一筋のダイダイです。もうすぐ桃の節句か…俺には関係ないけど、誰かの誕生日じゃなかったっけ? 2016年もランクに参加中です。下のランクバナー(1)(2)で応援〔ポチ〕頂ければ幸いです。オーエン頼みます! 
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