その男、激震!(188)

★コミコミスタジオさまにて通販中。黒桐Co.企画応募用台紙付のタイトルは「その男、激震4」です★

「毛髪の量は関係ありません。ありがとうございます」

園田の言おうとしたことは分かる。だが、心の底のモヤモヤしたものは消えなかった。

「二人でナニしてる。白昼堂々不倫か?」

勇一の声に潤と園田が振り返る。

「早かったですね」
「色っぽい顔してナニをしていたか、正直に言ってみろ。武史には内緒にしといてやる」

涙を浮かべた跡が残る顔を揶揄されていると、潤は即座に悟る。

「いろんなことですよ。ね、園田さん。それより、もういいんですか?」
「ああ。長居して身体に負担掛けさせたくない。これから俺は毎日ここに通うからいいんだ。明日はルーシーを連れてくる」
「――あ?」

ポカンと口を開いたまま固まっている潤に、園田が申し訳なさそうに小声で

「ルーシーさんって誰でしょうか?」

と訊いた。

「おい、探偵。そんなことは俺に直接訊け」

勇一が園田の前に立つ。

「それでは遠慮なく。ルーシーさんとおっしゃる女性は、誰でしょうか?」
「今、俺が夢中になっている女だ。色っぽくて、気が強くて、いい女だ」

固まっていた潤の身体が誰の目にも分かるくらいブルッと震えた。

「――あ、――ん、た、バカだろっ! 彼女にもルーシーにも悪いと思わないのかっ!」

言い終わる前に潤が勇一に掴みかかる。

「思わね~よ」
「なんだとぉおおおおっ!」

黒瀬がいたら、歓喜するに違いない。
潤が切れる姿を人一倍可愛いと思っている男だ。
だがここにいるのは、潤と勇一の他は園田だけだ。
園田は突然の潤の怒号に驚きを隠せない。

「病院内で騒ぐな。大企業の社長秘書のくせに常識のないヤツだ。行くぞ」

自分に伸びた潤の手を勇一はいとも簡単に払うと、一人、出口に向かって歩き出した。

 

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