★コミコミスタジオさまにて通販中。黒桐Co.企画応募用台紙付のタイトルは「その男、激震4」です★
黒い糸小冊子の応募(締め切り今月末)は玩具店応募用台紙です。お間違いなく。
病室の外で待っている潤と園田にも中の様子は伝わった。
「…あのう、よろしければ、これを」
園田が上着のポケットから取り出した皺だらけのハンカチを潤に差し出す。
「大丈夫です。…ありがとうございます」
潤は自分のハンカチで目から零れそうになる水分を拭うと
「向こうで何か飲みませんか?」
と、園田を誘った。
中の会話が漏れ聞こえる場所に留まることが潤には辛かったのだ。
病棟に設けられている休憩スペースに潤と園田は移動した。
「私の仕事は、ほぼ終了です。間に合って良かった」
紙コップ入りのコーヒーを一口飲んだ園田が、安堵の表情を浮かべる。
一方潤は鼻を赤くし、胸の中に渦巻く複雑な感情に耐えていた。
『愛してる。嘘じゃない。俺たちの子を産んでくれてありがとう』
勇一のその言葉を潤は彼女の側で受け止めていた。
どんなに欲しかった言葉だろうと。
二度と会えないと思っていた愛する人との再会。
潤にも覚えがある。
――――ロンドン…
死んだと聞かされていた黒瀬との機内での再会。
潤と違うのは、潤にはその先の時間も未来もあったが彼女にはないという点だ。
その分、胸が締め付けれるように切ない。
一方で、愛してた、じゃなくて、愛してると現在形で言い切った勇一に対して、じゃあ、時枝さんは? と考えてしまう。
二人同時に愛してると言うつもりなのか、と。
勇一を責めたくなる自分が凄く醜い人間のように潤には思えてならない。
きっと当の時枝は、そんなことを気にしたりはしない。
「あの…、一つ伺ってもよろしいですか?」
潤が園田に切り出した。
「一つでも、二つでもどうぞ」
「園田さん、同時に二人の人間を愛せますか? そういう経験ありますか?」
「こりゃまた、面白い質問だ。もしかして、桐生の組長さんには他にも誰かいらっしゃるとか?」
園田が脳内のメモを捲る。調査中に「時枝勝貴」の名は出てたが、彼は故人のはずだ。
今現在、特定の人はいないはずだ。
「いえ、あの人とは…組長とは関係なく、個人的にちょっと」
「そうですか。種類に因るんじゃないでしょうか? いろんな愛の形がありますから。家庭を二つ持ち、二重生活をしていた男を調査したこともあります。こういう仕事をしているとある意味柔軟に愛を捉えてしまうんですよ。親子愛に夫婦愛に人間愛。同情や感謝も一種の愛ですよね…人間の心は複雑ですから、どれが一つが本物で他が偽物ってこともないような。当人同士しかわからない愛の形もあります。こんな禿げ親父が語っても説得力ありませんが」
頭頂部の薄い部分を撫でつけながら、園田が笑う。
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