その男、激震!(186)

★コミコミスタジオさまにて通販中。黒桐Co.企画応募用台紙付のタイトルは「その男、激震4」です★

 

「久しぶり」

勇一がサランに微笑む。

「――イルッ、イル!」

既に脊髄にも癌が転移し痛みで動けないはずのサランの上半身が跳ね、勇一に抱きついた。

「サラン、もう泣くな。泣かせに来たわけじゃない。綺麗な顔が台無しだ」

よしよし、と勇一がサランのやせ細った背中をさする。

「会いたかった…ごめんなさいっ、…会いたかった…嬉しい…っ、…イルぅ」

サランの身体は震えていた。

「俺も嬉しい。今まで放っておいてごめんな。薄情な男だと恨んだだろう?」

恨むような女じゃない。
だがせめて恨んで欲しかった。
慰謝料や養育費を請求するための来日ならよかったと思う。
命を削っての父親探し、それも自分を責めながらだと思うと勇一は堪らなかった。
サランのどこに謝罪しないとならない理由がある?

「…違う…恨んでない…違う…幸せ…なってほしかった……それなのにっ、…ごめんなさいっ、イルッ、イルッ」
「ば~か。俺は幸せだ。サランに再会できたんだ。しかも最高のプレゼントまで届けにきてくれたんだろ?」
「…勝手なことした…。迷惑かけたくなかった…許して、イル」
「迷惑? やっぱりサランはおバカさんだ。嬉しいに決まってる。サランと俺の愛の結晶じゃないか。一緒にいたとき、俺はちゃんと言葉にできなかった。今なら言える。聞いてくれ、サラン」

勇一はサランの身体を自分からゆっくり剥がすと、彼女の濡れた頬を両手で優しく挟み、

「愛してる。サラン、愛してる。嘘じゃない。俺達の子を産んでくれてありがとう」

そう韓国語で告げると、薬で荒れた彼女の唇に自分の唇を重ねた。

 

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