その男、激震!(180)

★J庭新刊通販中。黒桐Co.企画応募用台紙付の新刊は激震4のタイトルです…★

文庫帯企画第三弾の応募、15日で締め切りました。ご応募ありがとうございますm(__)m

 

「なんだこの部屋?」

黒服集団に押し込められた縦に長い部屋。
その部屋の壁には照明付きの大きな鏡が貼られ、壁に備え付けの細長い台には化粧道具が並んでいる。

「…だから、言ったじゃないですか。ここ、どうみても楽屋です」
「楽屋見学付きとは、結構なことだ」

プチプチプチプチ……ッと頭の血管が切れる続ける音に耐えながら、木村が『まだわからんのか、このクソジジィ!』のフレーズを「だ」と「か」と「ら」の三文字に置き換える。

「だ~~~か~~~~ら~~~っ」
「うるせーぞ。だいたいお前、さっきからの態度はなんだ?」
「…申し訳ございません。ですが、若頭、俺たちは今危機的状況にいるんです。船内とは別の危機が俺たちを待ち構えているんです! いいんですか、大森に言えないことを俺と経験しても!?」
「経験って、お…お前…、まさか…」

木村が自分に気があると思っている佐々木は、思わず後退る。

「これ、なんだ」

何かを踏んだ感触に佐々木が足元を見ると、自分の靴の下に薄いグレーの封筒がある。
拾い上げると、その封筒には株式会社クロセのロゴマークが透かしで入っていた。

「ボンからか?」

手に取った封筒を裏、表と観察をするように見る佐々木を、

「早く開封して下さい! いや、駄目です。開けたら最後です! 捨てましょう。燃やしましょう! 気付かなかったことにしましょう!」

木村が唾を飛ばしながら支離滅裂に急かす。
そんな木村を無視し、佐々木が封を切る。

 

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