その男、激震!(178)

★J庭新刊通販中。黒桐Co.企画応募用台紙付の新刊は激震4のタイトルです…★

文庫帯企画第三弾の応募、〆キリ間近!

 

「若頭…ここ、ヤバイです…ソッチ系です」
「どっち系だ、男ならハッキリ言え!」

陸に上がったゴリラと蚤が…もとい、佐々木と木村がヒソヒソ声で騒がしい。
矛盾してるが小声だからといって静かとは限らない。
とくに佐々木にヒソヒソと話すなんていう高等技術は持ち合わせていない。
蚊の鳴くような声で話し始めたとしても、音楽記号のクレッシェンドが脳内に埋め込まれているのか、苛つき具合に応じて簡単にボリュームアップしてしまう。

「しっ、気付かれます!」
「構うか、ボケ。どのみち、ボンの手の者だ」
「だから、ヤバイんです!」
「ヤバイヤバイってうるせーな。何がどうヤバイんだ」
「…だって…ここ…、劇場ですよ」
「激情?」

何かのタイトルかと、突っ込みを入れたくなるような漢字変換で捉えた佐々木に、

「ストリップ劇場です!」

木村の声もボリュームアップする。

「Be quiet」

の英語フレーズと共に、木村の脇腹に痛みが走る。
佐々木と木村を取り囲んでいた黒服集団の一人が、木村の腹を警棒のような棒で突いた。
今の二人の状況…上下黒のスーツに、黒いサングラスの集団に取り囲まれ、古い煉瓦の建物の中に誘導されている。
上下黒のスーツの集団と言えば、桐生の構成員も公の場では似たようなものだ。
以前、イギリスから帰国した黒瀬と潤を空港で出迎えたとき、潤からカラスの集団と思われたぐらいだ。
(地上の恋も無情! 受難の突入篇 参照 )

違うのはこの集団のスーツには光沢がある。
生地の高級さが違う。光の加減ではグレーに見える。
十数人はいる集団が二重になって佐々木と木村を取り囲み、船底から二人をここまで誘導した。
入国審査を受けることもなく陸に上がれたのは、この黒服集団がグリーンの手の者だからに違いない。

『大丈夫か?』

ヤバイと実感した佐々木が、今度こそ本当に小声で木村を気遣う。

『…腹は大丈夫ですけど…この場所は大丈夫じゃありません! ここ、間違いなく、ゲイ専用のストリップか何かの劇場です!』
『ボンのおつかいに、ショー観劇のオプションが付いていたのか…船旅の疲れを癒やせっていう意味なら、俺はスパの方がありがてぇ』
『…あんた、おめでたい人間だ』

腹の痛みと船旅の疲れで、ポロッと本音が木村の口を滑った。

 

小冊子に選ばれたダイダイです。ランクに参加中です。下のランクバナー(1)(2)で応援〔ポチ〕頂ければ幸いです。オーエン頼みます! 
(1)にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ& (2)
Thanks a lot!

トラコミュ
オリジナルBL小説・・・ストーリー系


人気ブログランキングへ