その男、激震!(174)

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「ああ、武史の言う通りだ。いなかった。俺自身さえ、俺の中にはいなかったんだ。彼女は何も知らない。俺が日本人だということしか知らなかったんだ。俺に言葉を教え、生活を支えてくれて…しかもな、最悪なのは俺は彼女の妊娠に気付かず、彼女の前から姿を消した。そして、今、その彼女が死にかけている。俺の子の行く末を案じている。命を掛けて俺を探すために日本に来たんだ」

「…なんだよ、それ…誰も悪くない…それなのに俺、俺…この気持ち、どう処理したらいいんだよ……」

潤の動揺は尤もだ。
こんな話を聞かされれば、第三者の潤でも平静ではいられない。
目には涙を浮かべている。

――勝貴、お前だって葛藤あっただろうに…俺の前では取り乱しもしなかった。
俺を責めもしない…それどころか彼女と子どものことを…俺は果報者だ。
負けちゃ、いられね~、俺もお前以上に大きな男になってやる。

と勇一が潤を見ながら自分の中の決意を新たにしていると、

「誰も悪くない、っていうのは間違い」

黒瀬がぴしゃりと言い放った。

「…やはり、組長さんが…悪い…?」
「大元は何? あの結婚式での銃撃。あの銃撃犯が一番悪い」
「それは違う。あれはただのヒットマンだ。雇った人間が一番悪い。どうせ撃った人間はもうこの世にいない。違うか、武史?」
「ふふ、それを私に訊かれても困ります」

この弟が何の行動もおこしてないと考える方が無理がある。
色々調査済みだろう…あれから数年経ってしまったが、勝貴が拉致された件も含めて…いや、調査だけじゃないはずだ…

「論点ずれてきた…。確認したい。ダイダイもこのことを知ってるんだな? だから時枝さんと連絡をとりたがっていた。それで時枝さんはもう子どものことを」
「知ってるというか、この話はそもそも勝貴から告げられた事実だ」

潤の身体が震える。
震えた潤の右肩が後方にずれるのを感じた黒瀬が潤の身体を解く。
もちろん潤が自由に動けるようにするためだ。

 

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