風呂から上がった大喜が、遅めの昼食をとっていると、本宅から大喜宛の荷物が届いたと知らせが入る。
出向くとミカン箱ほどの段ボールが届いていた。
送り主は『黒瀬武史』。
品名は衣類。
…まさか…。
嫌な予感に、大喜は急いで段ボールを本宅から佐々木宅へ運んだ。
「電話してから、まだ一時間も経ってないのに……」
予感的中のお届けものだった。
段ボールの中には長さの違うウィック二種に、ブラジャー、パンティ、キャミソール、ワンピース三種に、白のカーディガン、薄手のコート、シフォンスカーフにストッキングが五足とパンプス。
ハンドバッグにアクセサリー、それにメイク用品一式とハウツーメイクのＤＶＤ、マニキュアまで入っていた。
「これがすぐに用意できる黒瀬さんって、やっぱ、凄いわ」
女装に必要な物が一式届いたからといって、はい、わかりました、とすぐに取りかかれるものではなかった。
気持ちの踏ん切りがつくのにそれから一時間掛かった。
一旦決心がついてからは、時枝に負けない『女』になろうと、体毛の処理から取り掛かった。
臑、腕は除毛し、脇は脱毛した。
陰毛もビキニラインで整え、パンティに収まるようにした。
体毛の処理が終わると全身に保湿クリームを塗り、すべすべの肌を実感してから下着に手を伸ばした。
まずはパンティ。
モッコリしたパンティ姿は美しくなかったが、中の位置をどうずらしても膨らみは残った。
仕方ないとそこは諦め、ブラジャーを手に取った。
今度はパンティの逆で膨らみが足りない。
ハンカチを数枚ずつ詰め、カップ内を満たした。
「…記念に写真を残すか？ 折角だから、オッサンに見せたいかも」
女性用の下着着用で、大喜はハイになっていた。
服を着る前にグラビアアイドルのようなポーズで写真を数枚撮った。
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