その男、激震!(201)

★黒桐Co.新刊でました!
 『その男、激震!5』(時枝日記も含まれている新刊です)中央書店コミコミスタジオさまにて、お求め頂けます

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「加害者みたいに言わないでくれる? アホな元秘書を助けた大恩人に向かって」
「…訊いてもいいですか」
「救出方法が知りたい?」
 
認めたくないが、頭の回転だけはいい。
顔を含む容姿は良すぎて逆にマイナスだ。
他は面倒くさいので省略――以上がこのとき時枝の脳内で繰り広げられた独り言だ。

「はい」
「簡単に言うと、完璧な清掃員コスプレ姿の私が、ゴミ収集用のカートで生ゴミ状態の人間かどうか怪しい物体を病院から運び出し、わざわざ湯を浴びせ、ベッドに放り込んだ」「・・・本当に簡単に言いましたね。その間、私に記憶がないということは、トイレの個室のドアを開けた瞬間、私に何かをしたでしょ。スプレーか何かで薬剤を吹きかけたか、嗅がせたかしましたね。でも大変だったと思います。お湯まで用意して頂きありがとうございます…それで、まさかとは思いますが…」
「もちろん、した」
 
時枝が咄嗟に尻の奥に手を伸ばす。
違和感もなければ腫れもない。

「ふふ、何をしたと思ったのかな? 欲求不満だからって期待しないでくれる」
「していません!」
 
キャン、と時枝の胸にいるユウイチが同時に吠える。

「時枝って、兄さんに愛されなくてもユウイチには愛されているよね~。トラウマさえ性癖に繋げてしまう時枝ってド変態だよね」
「それはっ、…」
 
時枝が言葉に詰まる。
あなたも同じでしょ、と言い掛けて飲み込んだ。
時枝に向けられた言葉ではあるが、黒瀬自身にもあてはまることなのだ。
どちらがつらい経験をしたかなどと、比較することはできない。
黒瀬の背中に残るケロイド状の傷、時枝の太腿に残る火傷痕。
その過去の経験があってこそ、今の自分達がいる。

「…変態でも構いませんが、勇一にも、このユウイチにも愛されていますから、ご心配なく」
「心配??? 私が時枝を心配? それは時枝のジョーク? だとしても笑えない。全く面白くない。くだらないこと言うよね」
 
あ~~~~っ、一々、面倒くさい男だ。
時枝は乗せられてたまるかと、平静を装う。

「申し訳ございません。失言でした。それで、した、とは? 何を『した』のか教えて頂けたら幸いです」
「幸いなんだ。だったら教えない。時枝をハッピーにする理由が私にはないからね。じゃあ」 
 
じゃあと手を振り、黒瀬が時枝の寝室から出て行った。
え? ええ? ここで終わり???

「クソ武史~~~~ッ!」
「ウ~~~ッ」

ここでもユウイチが時枝に同調した。

 

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