その男、激震!(169)

黒桐Co.J庭ラスト参加回、ありがとうございましたm(__)m

 

勇一の子どもの存在が明らかになった頃、佐々木と木村の二人はまだ船底にいた。
佐々木の『愛』の拳で気を失っていた木村が覚醒したとき、佐々木はゴリラの檻の前で寝ており、その身体を檻の中の一匹のゴリラが鉄格子の隙間から指で突いていた。

「若頭! 何やってるんですかっ!」

ゴリラが楽しそうに佐々木の身体のあちこちを指で突く姿に、木村が焦る。
焦るがゴリラが怖くて檻には近付けない。
つまり佐々木の所には行けない。
だいたい、どうして佐々木がわざわざそんな場所で寝ているんだと、不思議でならない。

「バカ、ダイダイ…くすぐったい…」

と、当の佐々木は幸せそうに笑みを浮かべ寝言を言っている。

「くすぐったい、じゃないでしょ! ゴリラ相手に感じてる場合じゃないですっ。起きて下さい! 若頭! ヤバイですッ、喰われます!」

喰われることはないだろうが、ゴリラの指が妙に器用に動き、微妙な部分をタッピングしている。

「起きて下さい! ダイダイじゃありません。ゴリラです。アア…んもう、ゴリラに愛される若頭など見たくありません!」

必死になって声を張り上げる木村を、もう一匹のゴリラが熱い視線を送る。

「…バカッ、見るな! 俺は餌じゃないぞ!」

実は着ぐるみで中に人が入っているのかと思うような動きをその一匹が木村にした。
指を立て「こっちに来い」と木村を誘う。
自分も人間を触りたいというのだろう。

「誰が行くか! 俺に触っていいのは、」

アレ??? 嫁のはずなのに…違う顔が頭に浮かんだ。

「違うぞ。違う。決して違う」

頭を激しく振る木村に、ゴリラがさっさと来いと鉄格子を掴んで揺らす。

「だ~れが行くか! 人間さまをバカにするな!」

ニュアンスがゴリラにも伝わったのか、ゴリラがそれならという態度をとる。

「…あ、そんなに激しく、触るなっ…ダイダイ、もっとゆっくり」

それは木村が触らせないなら、自分も佐々木への『攻撃』に加わるというものだった。

 

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