ヤクザ者Sの純情!22

「泣くほど、頭打ったのか?」
「ちがうっ!」
「だって、お前、泣いているじゃないかっ!」
「オッサンが、俺にキスしたからだろ。逃げられないように、俺の頭押さえつけてっ!」
「…キスって…お前…」

床に転がる大喜に吠えられ、佐々木が狼狽えた。

「してたよな。オッサンだって、さっき、しっかり分かったよな? 激しいベロチューしやがって、俺の大事なところが腫れてんだよっ!」
「大事なところって…」
「何、カマトトぶってるんだ? は、俺のチ●ポが、腫れてるって言ってんだよっ! ロープ解けっ。食い込んでるんだよっ!」

佐々木の視線が、大喜の腰部分に向けられた。

「男ならわかるだろっ! 早く解けっ! 解いてくれよ…オッサンが俺に…キスしたからだ…」

最初の悪戯を仕掛けてたのは大喜の方だというのに、その部分は削り、佐々木に全ての罪をなすりつけた。

「…悪かった…」

顔を赤くした佐々木がポツリ謝罪すると、しゃがみ大喜のロープの結び目に手を掛けた。
やっと解放されると、ホッとしたが、いつまで経ってもロープが解かれない。

「オッサン、早くしてくれよ!」
「…だってお前、これ解いたら悪さするだろ。俺にも組長にも何もしないって約束できるか?」
「悪さしたのは、オッサンだろうがっ! 男なら俺の今の状況が分かるだろ。早くしてくれよ…なあ…頼むから」

はあ~っと、佐々木から深い溜息が洩れる。
ロープを解いた後のことが思いやられるのか、決心が必要だったらしい。
渋々結び目を解き、大喜の体中に渡っていたロープを外していく。

「あ~~~っ、血が巡る~~~っ!」

鬱血していたのは一部分のはずなのだが、全身が血流が行き渡るのを大喜は感じた。
解放された手足を伸ばし、深呼吸すると直ぐさまパジャマと下着を降ろした。
妨げがなくなった大喜のソコは、もう爆発寸前だったのだ。

「オイ、ダイダイっ!」

驚いたのはもちろん佐々木である。
まさか目の前で大喜が一物を自ら晒すとは思っていなかった。
お漏らしをしたときに一度目にしているが、今のそれは形状が違う。

「オッサンッ、ヤバイぞっ。出るっ! ティッシュッ!」

急に言われても、手元にティッシュの箱はない。
慌てた佐々木の取った行動は、自らの手で大喜の放ったものを受け止めるというものだった。

「…ク…あぁ…出た…」

佐々木の掌には、べっとり大喜の放った白濁の体液が付いていた。
温かく、青臭い匂いが生々しい。

「ごめん…オッサン」

我慢できなかったとはいえ、自分の精液を掛けてしまったことが、さすがの大喜も恥ずかしい。
しかも、自分の今の格好といったら、上だけ着てはいるが、下衣は足元で、前を剥き出しの状態だ。
全裸より、ある意味恥ずかしい。
佐々木は大喜の放ったものを見つめながら、固まっていた。

「オッサン? オイ、大丈夫か?」

下着とパジャマを上げようにも、先端を拭かないとベトベトで気持ちが悪い。
足を引っこ抜き、下衣を脱ぎ捨てると、大喜は間にあわなかったティッシュを取りに行く。
タンスの上あった箱を手に取ると、箱ごともって佐々木のところに戻る。
自分の先端の残滓を拭き取ると、今度は佐々木の掌に付着したものを拭き取った。

「どうしたんだよ。ショックだったとか?」
「…あ、イヤ…、自分以外のを触る日が来るとは……。後片付けで、シーツとか紙とかゴムとかはあるが…まさか、掌に直に受けるとは……」
「後片付けって、誰のだよ。オッサン、ラブホでバイトとかしてんのか?」
「俺がするはずないだろ。縦社会、色々あるんだよ」
「組長さんのかよ?」

図星なのか、佐々木の顔が赤くなる。

「縦社会だか、上下関係だか知らないけど、オッサンがナマで触っていいのは、俺の精液だけだからなっ! 他の人間のを触ったら、絶交だっ!」

押しかけ、バイト代までもらっている人間が言う言葉ではないだろう。

「…ダイダイ、絶交というのは友人同士で使う言葉だ。俺達は友人同士じゃないぞ?」

佐々木にしてみれば、放っておけないガキというだけで、雇用者と非雇用者の関係なのだ。

「ああ、そうだった。俺はオッサンの友人じゃなくて、恋人だった」

当たり前にように言い切られ、佐々木は反論する気も失せた。
反論したところで、寝ぼけて大喜にキスをしてしまった事実がある分、自分には不利だ。

「はあ~寝るぞ。お前どうするか? 部屋に戻って寝た方がいいんじゃないのか」
「もちろん、オッサンと寝る」
「じゃあ、その可愛いものサッサとしまえ」

佐々木の指が、大喜の縮んだモノを指す。

「縛られたくなかったら、悪さするなよ」

釘を刺し、佐々木は先にベッドに上がった。
大喜もさすがに今夜はもう縛られたくないと、大人しくベッドに上がった。
下半身がスッキリした大喜はあっという間に眠りについた。
今日一日、目まぐるしかったので、疲れもあるのかもしれない。
桐生の事務所で佐々木を待ち伏せにしてから、まさかの本宅での新生活だ。
結局佐々木と身体を繋げることは叶わなかったが、佐々木に大人のキスをされたり、自分の精液を佐々木にぶちまけるという、性的な進展はあった。
もう、今夜はこれ以上はいいや、と睡魔に身体を素直に預けた。

「大人しく寝てれば、犬コロみたいで可愛いのに」

佐々木の胸にピタッと額をつけて足を曲げ、大喜はスヤスヤ寝ている。

「明日もこうして静かに寝てくれよ」

大喜の鼻を抓んで呟く佐々木の顔は穏やかだった。