ヤクザ者Sの純情!31

「ッたく、だからびびらせないようにって、言ったんだよ。タオル貸せ」

佐々木が大喜の手からタオルを奪い取ると、また腰に巻いた。

「…ソレって、ヤクザはみんなしないと駄目なのか? 掟とか……。 真珠だろ? 本物?」

大喜の好奇心が、佐々木のタオルの下に注がれる。
芸能人や某放送局のアナウンサーでもいるらしいが、自分の周囲にはいない。
温泉やサウナでも見たことはない。 
夜のバイトを始めてから、話しに聞いたことはあったが、ボコボコした一物を目にしたのは初めてだった。

「和玉本真珠。掟とかじゃない。若気の至りってやつだ」
「…オッサン、純情ぶって、意外とエロオヤジだろ。そんなもの入れて女をヒィヒィ言わせたいって…やっぱり、サド?」

大喜の頭に佐々木がお湯を掛ける。

「…いきなり、ひでぇ~…」
「生意気なガキを洗ってやるんだ。文句言うな。誰がエロオヤジだ。他の人間はしらんが、俺は我慢比べだ。若い時っていうのは、何かしら勝負したがるもんだろ。特にこの世界に足を突っ込んでから、無茶な賭やら勝負やらバカやってたんだ。ああ、確かに女性には申し訳ない一物に、なっちまったが……俺はどこかのくそガキと違って誰某構わずスケこますわけじゃねえ。コレを使う時は、それ相応の愛情と覚悟の上だ」

背中を流してくれるのかと思えば、佐々木は大喜の濡れた頭にシャンプーを掛けると、乱暴に洗髪を始めた。
泡が飛ぶので、大喜は目を開けられない。

「…なんだよ…今までにそんな相手がいたのかよ……誰にそれ、突っ込んだんだよ…」
「昔の話だ。もう、忘れちまった」

嘘つき。覚えてるじゃないかよ。
それ相応の愛情と覚悟って、そういう相手がいたってことだろ?

「…組長さんより前に、好きになった相手がいたってことじゃないのか?」

シャワーで優しく流せばいいものを、佐々木は桶で湯をくむと、大喜の頭から湯をザーッと乱暴に掛けた。

「どうして、そこに組長が出てくるんだ。は? 俺の過去なんぞ、ダイダイには関係ないだろ。お前はしっかり働いて、借金早く返せ。そして、ココを出て、真っ当な人生を歩けよ」

組長が好きなくせに、とぼけちゃってよ…

「ちぇっ、説教か~…あ~、目が痛いっ」

泡を含んだ湯が、目に染みた。
目をゴシゴシ擦っていると、頭からまた湯を掛けられた。

「背中洗ってやる」
「優しくしてくれよ。昼間、縛られた所、薄皮が捲れててヒリヒリしてるからさぁ」
「任せとけ」

大喜の背中には、うっすらと縄の痕が残っていた。
時間が経ったが、消えてない。
浴室の湯気で血行が良くなったのか、佐々木が大喜の頭を洗い始めた時より痕が赤く浮き上がっている。
――全くボンにも、困ったもんだ…、俺が忘れてなければ、大喜に顔を合せないよう注意もできたのだが…
大喜に言われるまでもなく、今日のことは全て自分の責任だと佐々木は猛省していた。
だから、大喜の大喜の一緒に風呂に入りたいという申し出を素直に受けてやったのだ。
佐々木が石鹸を手にとる。
タオルにではなく自分の掌で泡立てると、その泡で大喜の背中を洗い始めた。

「…オッサン、手で洗ってるの?」
「ああ、その方が刺激が少なくて、いいだろ」

確かにタオルやスポンジで、ゴシゴシやられるよりは摩擦による刺激は少ない。
だが、石鹸の成分が染みることには変わりなかった。
正直、痛かった。
でも、佐々木の大きな掌が、背中を優しく滑る感触は、気持ち良くもあった。
――気持ち良すぎた…
背骨から脇腹が性感帯の人間は多い。
染みる痛みと背中を這う泡まみれの掌が、いらぬ刺激となり大喜を直撃した。

「…オッサン…、ヤル気とか?」

正面では、大喜の中心が顔を擡(もた)げていた。

「ヤル気? 喧嘩するつもりは、ないぞ」

佐々木は大喜の背にしか視線を落としてないので、鏡に映る大喜の体の変化には気付いていない。

「…ヤバイって…あぁ、」

ゾクッと、大喜の体が震えた。

「ん? お前、寒いのか?」

自分の手がどんなにエロい動きをしているのか、佐々木には自覚がなかった。

「…オッサン、…実は風俗好きとか…あっ」
「資金源だ。仕事で顔を出すことはある」
「…そこで、性感マッサージ習得したとか……うっ、」
「お前、さっきから何を言ってるんだ。俺が顔を出すのは事務所だろ。それより、寒いんじゃないのか? 鳥肌たってきてるし、体が時折、震えるし」

駄目だ…このオヤジ…、全然分かってない。

「オッサン、ちょっと手借りるぞ」

背中を這う佐々木の手首を大喜が掴む。

「ココ、オッサンのせいだ」

佐々木の手を自分の中心に持っていく。

「…なっ、」

どうなっているのか、佐々木にも分かったようだ。
手を引っ込め、鏡越しに大喜の中心に視線を向けた。