「なに切れてるんだ、ガキ。人が褒めてやってるのに、大声出すな」
「案外ってことは、今まで俺をバカだと思ってたってことだ。案外利口なんじゃなくて、元々利口なんだ。大学だって、あんたと違って俺は正面から入ったんだ。裏口のあんたとは違う」
「ちょっと待て!」
「またね~よ」
ふん、と勇一との会話を大喜は終わらせようとした。
「待て、って言ってるだろ!」
勇一がハンドルに腕を伸ばしてきたので、慌てて大喜が車を路肩に寄せ止めた。
「あぶね~な! あんたと心中するつもりはね~ぞ!」
「訂正しろ。さっきの裏口っていうのを訂正しろ」
「はあ? 裏口じゃないって言うつもりか?」
「あたり前だろ!」
「うそだ…だって、時枝のオヤジと、黒瀬さんと同じ大学じゃん。受かるはずがない」
「勝貴と一緒に勉強したんだ。受からないはずがないだろうが」
「…分かったよ。本人だけがしらね~可能性もあるよな。周囲の大人が裏で動いてた可能性が桐生ならあるんじゃね~の? で、運転を邪魔して、車を停めさせた理由はなに? 裏口どうこうが本当の理由じゃないんだろ」
大喜が運転席側のサイドミラーを視線だけ動かしチラッと見た。
「あ~あ、俺の方が訂正かよ。お前は利口だ。案外抜きで、利口だよ。賢いと認めてやる」
勇一は頭を動かさず、バックミラーを見る。
「アレか?」
前を向いたままで、大喜が勇一に確認する。
「ああ、アノ車だ。通りに出てからずっと張り付いていたからな」
「心当たりあるのか?」
あった。
これが初めてではなかった。
桐生の墓に行く途中、勇一を付けていた軽自動車だ。
「どうする?」
「振り切れるか?」
「なんの為のスポーツカーだよ。任せとけ」
と言うなり、大喜は車を急発進させた。
ランクに参加中なんだ。読者数としてもカウント中。
俺たちとは全く別の話「黒い糸」と更新掛けたレース中なんで、応援してもらえると嬉しい。
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