………という登場で、今に至る佐々木と木村。
木村は声を大にして誤解と言えるのだが、佐々木は木村が自分に気があると思いこんでいるので、反論できかった。
それが更に潤の神経を逆撫でした。
「今すぐここにダイダイを来てもらおう。こういうことは関係者全員の前でハッキリさせた方がいい! 木村さんの奥さんも呼ぼう!」
とんでもないことを潤が言い出した。
「ふふ、楽しいことになりそうだけど、この件は一旦私に預からせてもらってもいい? ダメかな、潤?」
潤の申し出も最悪だが、黒瀬に一任となるとただごとでは済むはずがない。
木村は必死で、
「本当に誤解なんです! 俺は若頭のことを何とも思っていません。ね、若頭、そうですよね。俺達、ただの上司と部下の関係ですよね」
と、佐々木にふった。
「…………ああ。その通りだ」
木村の必死さが、誤解の進行形の中にいる佐々木には不憫だった。
その為、即座に答えられなかった。
「なに、その間」
潤が怖い顔で佐々木を睨む。
このままだと、またバケツに水を溜めてきそうだ。
「潤、私に任せてくれる?」
潤からの返事をもらっていない黒瀬が、再度潤に訊いた。
「もちろん、任せるよ。俺は黒瀬を信頼してるから。ダイダイだって、佐々木さんを信頼しているのに、このクソゴリラッ!」
と佐々木を罵ってから、潤はその場を離れた。
「潤は優しいからね。きっと今頃二人の服の代わりを用意しているはず」
いなくなった潤を黒瀬がフォローする。
「はい、仰有るとおりです。潤さまが激怒されたのも、ダイダイや木村の家族を思ってのこと。ありがてぇことです」
佐々木が神妙な顔付きで言った。
「本当に誤解なんです…」
木村は目の縁にいつ溢れてもおかしくないほどの水分を溜めていた。
「それで、ゴリラと蚤は一体何しにここに来たの?」
「…時枝さんから何か聞いてらっしゃいませんか?」
質問に質問で佐々木が返した。
「二人揃って来るとは訊いたけど。もっとも、こんなに待たされるとは思ってなかった。まさか、二人の関係を私と潤に報告しに来たわけじゃないよね~」
「違います!」
佐々木と木村が二人同時に返した。
「そう、つまらない。ホテルで会ったんだってね、時枝に。ふふ、時枝の女装姿、どうだった? あの堅物が女装って、想像しただけでも気持ち悪くて笑えるんだけど」
黒瀬の言葉に佐々木と木村が顔を見合わせた。
時枝の女装姿を思い出すと、その完璧さに顔が赤くなる。
「二人して頬染めない。それこそ気持ち悪い」
「……時枝さん、お綺麗でした。女性より女性らしかったです。美人さんでした。別嬪さんでした」
「別嬪って、佐々木、表現が古いよ。木村も同じ意見?」
「はい! 喉仏が気になりましたが…それ以外は完璧です。色気もあって、組長がコロッと誘惑されたのも頷けます!」
こら、木村、と佐々木が木村のヒジを突いた。
俺のために連日ありがとう、な↓↓↓。
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