その男、激震!(60)

「――オッサン…少し、休憩…」

昼も食べずに朝から盛っていれば、大学生の大喜の体力をもってしても、くったくただ。
しかし、終わりにはしたくなかった。欲しいのはあくまでも小休止。

「休憩? だらしね~な。腹減ったなら、何か作ってきてやろうか?」

待ってろと、佐々木が大喜を残し、勇一の寝室から消えた。
置いて行かれても寂しいと感じないのは、十分過ぎるぐらいに愛されたからだろう。
そして、それはこの後も続くと知っているからだ。
今日を迎えるまで、どれだけの時間を要したか。

劣化版勇一の橋爪に連れ回され、変態男に弄ばれた記憶は、秘密倶楽部での初体験を上回る罪悪感として大喜の中に強烈に残っている。
そして、それは佐々木が心配していたように、いざコトが始まると鮮明に大喜は思い出してしまった。
――が…

「震えたって、やめね~ぞ」

餓えたゴリラは、大喜の脅えなど構うものかと襲いかかった。

「震えてない! …でも、オッサン…ちょっと性急すぎっ」

実際、大喜は震えていた。
裸に剥かれ、佐々木に触れられた時から、変態男にされた行為が脳裏に蘇り、セックスという行為が怖くて堪らなかった。
プラス、佐々木を裏切った身体を晒すことも辛かった。

「ふん、青くなっても気遣ってやらね~からな。それを望んだのは大喜、お前だ」
「そうだよっ! どれだけオッサンとヤりたかったと思ってるんだ!」
「上等じゃねぇか。嫌な記憶も震えも罪悪感も忘れさせてやるから、有り難く思え」

縮こまった大喜の性器を指で弄りながら、佐々木が荒々しく言った。

「…似わなね~こと、言ってるんじゃねぇぞ…バカゴリラ…っ、」

感極まって大喜の声が詰まる。
格好付けた言葉が佐々木の本心だと大喜には伝わっていた。
そして、大喜の佐々木への想いが今まで以上に上昇するのを実感していた。
となると…震えは恐怖から、乙女チックな『初めて好きな人と』的な恥じらいに内容が変わった。
もちろん、初めてではない。
だが、長い期間、佐々木とはやっていない。

「あっ、いきなりっ、」

佐々木が指で弄っていたものを、口の中に含んだ。

「ぁあ、激しいって…や、…うそっ、…」

ジュルジュルと水音とたてながら、佐々木が大喜を嬲る。